夜明け


 *


「はい。これで手術は終わりですよ」


朝五時を少し過ぎた頃。夜空は少しずつ朝日に染まっていき、夜が終わった。抜け殻になった彼の耳からは反対側が覗けるようになった。彼の耳周辺はだるま落としのようにくり抜かれていたが、その内容物は洗礼を終えた獣のように、海に飛び込んだ。海に浮かんだ四本足のクラゲは、そのままどこかへと沈んでいったのだった……。

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