第2話 頭上に注意

 最近、視線を感じるんです。

 シャワーを浴びている最中、駅のホーム、街中を歩いている時も。不意に、誰かに見られているような感じがするんです。しかし、振り向いても誰もいない。そんなことが立て続けにあって、気が滅入りそうなんです。だから、友人の勧めでお祓いに行ったんです。すると、言われたんです。「君、学生の頃同級生をいじめてたでしょ」と。ハッとしました。言われた通り、私は学生の頃、ある女子生徒をいじめていたからです。若気の至りというか……、今となってはどうして彼女をいじめていたのかも覚えていません。その彼女が生き霊となって憑いているそうです。となると、祓い方は彼女に許してもらうしかないということで、その日は帰りました。

 その後も、しばらく視線を感じていましたが、それが生き霊と分かると、いつの間にか気にならなくなりました。そんな矢先のことです。その日は、朝からずっと見られている気がしていました。営業先に向かうのに、私が街を歩いていると誰があっと声をあげたんです。その指差す方向を見ると、落下する人間と目が合いました。それが正しく件の彼女でした。

 視線を感じたら、後ろじゃなくて上を見ろ。あれは本当の話だったようです。

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