第5話:アルミラージのパテ(1)


 うーさーぎーおーいし、かーのーやーまー♪

 というわけで、ボンジュール!

 今回は、アルミラージのパテを作りますの!


 アルミラージは、一本角をもつ巨大なうさぎのモンスターよ。

 あまりなじみのないモンスターだけど、味がいいから人気の食材。

 春の象徴として食べる人も多いけど、味は今ぐらいの秋が一番なの。


 今回のパテは、とっても手間がかかる方法よ。

 仕込みから、焼きあがるまで、なんと3日!

 でも、手間かけても値打ちがあるから、手は抜かないわ。


 まず、アルミラージの肉の特性からね。

 一般的なお肉とくらべると、兎特有の粘りがあるの。

 でも、体が大きい分、粘りはマイルドだわ。

 パテは、粘りを増すために、豚の脂なんかをつなぎに使うけど、アルミラージは、つなぎが要らないのよ。


 そんなわけで、パテ・ド・カンパーーーーニュ風につくっていくわね!

 パテ・ド・カンパーニュっていうのは、「田舎風パテ」って意味よ。

 食べ応えのある肉々しさが特徴なの。

 フランスでは、家庭によってレシピが違う、いわばママの味ってとこかしら。


 まず、アルミラージの塊を用意して、それに赤ワインをベースにしたマリネ液に漬けます。

 しっかり揉んで、肉が外にでないぐらいじゃぶじゃぶに漬け込みまーす!


 あと、アルミラージのレバーも必要。

 レバーは1cm角に切って水で洗い、牛乳に漬け込むの。

 牛乳が臭みをとってくれるわ。 

 

 でも、今日はここまでね。

 漬け込むのに、一日かかるからよ。



 はい、1日経ちました。

 しっかり漬け込めたかしら?

 まあ、確かめる方法もないし、漬け込まれたのでしょう。


 その肉を取り出して、布でよく拭いたら、2等分します。

 片方はぶつ切りにして、もう片方をミンチにします。

 一緒くたにして、フードプロセッサーなんかもありだけど、美味しく作りたいなら分けた方がいいわ。


「ギャルソン! このお肉、半分はミンチにして、もう半分はさいの目切りにしといてちょうだい!」

「へい、喜んで!」


 (見習いらしき少年が、肉を取りに来る)


 次は、混ぜる具材ね。

 みじん切りした玉ねぎと、ハーブ類、ナッツ類も入れるわ。

 それから、一番重要なのが「レバー」!


 レバーよ、レバー!


 ここ重要。テストに出ますわよ!

 昨日漬け込んでおいたレバーも水気を切って置いておくの。


 みじん切りした玉ねぎを、弱火のフライパンでじっくり炒めるわ。

  

「アルフォンソ、玉ねぎ炒めておいてちょうだい! しっかりキツネ色になるまでしっかりね!」

「ウィー、ムッシュ!」


 (アルフォンソが、炭を用意しフライパンにかける)


「私は、こっちでワイン飲んでるから、出来あがったら呼ぶのよ」



――1時間後――


「ムッシュー、キツネ色になりました」

 (汗だくのアルフォンソが、ティルレを呼びに来る)


「むにゃむにゃ……、もう食べられないって言ってるじゃない……むにゃむにゃ……」

「ムッシュー、起きてください。できましたよ!」

 (アルフォンソの声で、ようやく目を覚ます)


「あら、早かったわね……。じゃあ、熱とれたら、また起こして……」

「そう言うと思ったんで、もう冷ましてあります、ムッシュー」


「そうなの…‥? 優秀するのも、困りものね……。わかったわ、じゃあすぐ行きますわ……、ふわぁ……」



━━━━━━━━━━━━━━━━━

パテは続くよどこまでも……

次回、本格パテの完成までをお届け!?


お読み頂き、ありがとうございます。

評価や感想いただけると、執筆の励みになります<(_ _)>


――作品紹介――

『ISEKAKU ~異世界格闘技に人類最強が参戦したら、どうなるのか?~』

連載中!!

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