異世界・宮廷料理人ティルレが、モンスターを使った無双レシピを公開するわよ!

佐雲渡(さうんど)

第0話:プロローグ


 ボンソワ! 日本のみなさん。

 異世界にある、ロネア王国の宮廷料理長、ティルレと申します。

 といっても、本当の名前じゃありませんことよ。


 実は私、転移者なの。

 転移する前の名前は、合田 学武(ごうだまなぶ)。

 自衛隊の糧食りょうしょく班にいた調理師だったのよ。


 え? 男だったのかって?

 言いたいことは、わかってるわ。

 でもそこは、大人の事情だから、察するのがマナーってものよ!


 ともかく、私がなぜ異世界に飛ばされたか、すこしお話しするわね。

 あれは、ちょうど10年前だったかしら……。

 ある日、憧れの中島少佐の為にプリンを作ったの。

 中島少佐は、レンジャーに所属するバリバリの武闘派で、しかもすっごいイケメン!

 でも顔に似合わず、大の甘党だったのよ。


 よく彼の為に、いろんなお菓子作ってあげたっけ……。

 ま、そんなことは置いといて、とにかくその日、食堂にいた彼にプリンを届けたのね。

 そしたら彼、えっろい口して食べたのよ~!


 私たまんなくなって、思わず声上げそうになっちゃったわ。

 したらその瞬間、突然床から大きな光が湧いてきて、私たち2人を飲み込んじゃったの!


 で、気がついたら、この王宮の庭に倒れてた。

 最初は、訳分かんないから大騒ぎよ!

 衛兵えいへいにも追われるし、中島少佐と2人で必至で逃げた。

 でも、その最中に中島少佐は矢に射抜かれて死んじゃった……。


 まあ、昔の話だから、気にしないでちょうだい。傷は癒えてるわ。ええ、平気よぉ……。

 とにかく、私は捕まって牢屋に閉じ込められたんだけど――


「私は世界一の料理人よ、料理も食べずに殺したら、必ず後悔するわ!」


 って大見得きっっちゃたの。

 そしたら、食いしん坊の看守が食いついてきて、作ってみろってことになったのよ。


 元々は、実家がフランス料理やってたから、洋食は何でも自信あったわ。

 それで調理場の余りもので、適当にそれっぽい料理つくってたべさせた。


 そしたら、その料理に看守が腰ぬかして、そこにいた全員が私の料理を奪い合いになっちゃった訳よ。

 当然、その後は看守の料理番になって、そこから噂を聞きつけた近衛兵このえへいの料理も作るようになったわ。


 元々この国の料理、古代の地中海みたいな料理だったから、フランス料理が口にあったのね。

 そして、今や宮廷で料理長! えっへん!

 でも、普段の料理を作ったりしないわ。

 パーティなんかで、特別な催しがあったときだけ料理をつくる役目なの。


 この国には、最初フォークやナイフもなかった。

 何でも手で食べて食べてたのよ! 信じられる? アニモーよ、アニモー!

 お皿だって素焼きの質素なものしかなかったから、全部ドワーフの職人たちと協力して立派なものを作ったのよ。


 テーブルなんて燭台しょくだいすらないし、全て一からコーディネートしたわ。

 文明の遅れた周辺の王侯貴族がパーティーに来たら、びっくらぽんの大騒ぎよ!

 そう、私はパーティで無双してるの!


 という訳で、時間もないし、その無双料理を紹介するわね。

 今夜、晩さん会があるんだけど、そのメニューがこちら!


・ドラゴンの卵を使ったオムレツ

・ペガサスの生ハム、古代桃添え

・アルミラージのパテ

・豚肉とザラタン茸のソテー

・スライムのラビオリ蒸し

いわしとマンドラゴラ、薔薇の香りを乗せて

・クラーケンのポワレ

・グリフォンの赤ワイン煮パスタ

・ガーゴイルの羽、ガレット風

・レッド・ドラゴンのポルト酒煮込み

・黄金のリンゴで作ったアップルパイ


 そっちじゃ、手に入らない珍しい食材だけど、日本の材料で代用できるレシピもご覧にいれますわ。

 それでは、次号までサリュ!



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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

第1話は、ドラゴンの卵を使ったオムレツをご紹介します。

ぜひ読んでくださいね!

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