# 22



あたりをきょろきょろと見まわし、立ち上がろうとした時




男 「おい。」



 「聞いているのか?」



「この状況は何だと聞いている!!」




僕は、投げかけられる問いに答えている場合ではない。





僕「僕の・・・友が・・・


  たたかっていたんです!


  彼はどこに・・・?」


 



男「まずはこちらのいに答えないか!


  なぜこのような状況に?


  どうして君は、あんな無茶を?」




僕「僕の友は?ここでたたかっていたんです」


 「まさにこの場所で・・・


  いったい彼はどこへ・・・」


見知らぬ大人達の問いに答える余裕などなく

しっかりと目を凝らして、辺りを見回す。



爺「話にならん・・・」




女「もう一人のガキんちょならこっちだよ。

  落ち着きな。」



 「だいぶ瘴気しょうきに当てられてる。

  こんな状態で・・・よく立って居られてもんだよ」



 「"いち"の血族とはいえ、

  本人はだ""にすら成りかけの状態なのに」




男「それで?この状況は?なんなんだ!」


女「大体理解できたよ、あんたも落ち着きなって。」


爺「どうゆうことだ?」


女「この辺りがになっている結界の範囲に入った時、


  何か違和感を感じなかったかい?」


男「違和感?それは魔の物の瘴気ではないのか?」



女「違う。結界の〝ほころび″だよ。」



「自分達自身の波動で作り出している結界特有の、


 あたしたちには軽く感じるはずの空気が、

 

 少し重たく感じたんだ。つまり、


 ここはにぶってるってね。」





爺「なるほど・・・」




女「この里の〝いち″の家と、近くの里も見に行こう。


  原因はそこらだね」




友の姿を確認出来てホッとしたものの、






最後に見た彼の姿とは、まるで違っていた。





全身が黒く染まり・・・




呼吸をすることすら苦しそうで、





アレは人・・・




彼だったモノ・・・




まるで・・・




魔の物か・・・






もう目を当てていられなかった。











いつの間にか自分の頭上で交わされる会話に、




顔を上げてみるとその顔触れは様々。







僕の母よりは若く、妖艶ようえんな雰囲気を有した



綺麗な女の人・・・



しかしよく見てみれば、とても均整きんせいの取れた


鍛え上げられた筋肉が、この人のたくましさ、


男性にもおとらない頼もしさをかもし出している。




そして、とても真面目そうな髪型、着物、羽織、


全身がきっちりと整えられた、涼しげな整った顔つきの


先程から僕の身体を引っ張ったり、状況を話せとひたすら


せっついてくる細身の若い男の人。





それから、どっしりとした体格に筋肉が隆々りゅうりゅうと盛り上がった



長い白髪を後ろでに縛っている、顔はしわくちゃのお爺さん・・・




見た目、嗜好、年齢、性格、全てバラバラに見える三人


しかし皆一様に、首元には "壱" "弐" "参" の数字。





しばらくすると、突然






四方から""の数字を持った人々が集まってきた。



そして僕達の里の方から戻った人が報告を告げた。





「あの里だと思う。結界に足る波動がなかった。」







続・・・・

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