第2話 初めての異世界

初めて完全に異世界に入り込んでしまった私は当然のごとく戸惑った。

だが、ついに入り込んでしまったかと予期していた部分もある。

子どもの頃から文学に触れ、探偵めいた遊びをしていた私だ。この事態を予期できなかったわけではないのだ。

むしろたびたび異世界に入り込むうちに、この現象の謎を解き明かしたいと思うようになっていたし、異世界と現実世界が入れ替わった後、戦利品を獲得できることに気づいたのだ。


もちろん本物の剣やヨロイではない。

だが現実世界に帰った時に何か得体の知れない玉のようなものを手にしていたり、

しばらく現実世界で過ごしていると異世界で入手したものそっくりのものが手に入ったり、はたまたニュースで目にするようになったのだ。

一番驚いたのはSFものの異世界に入り込んだとき、人口の惑星を解放し、アナザームーンと名付けたのだが、

現実世界に帰ってきて目にしたニュースが、人工の月を作ることをNASAが決定したと言うものだ。


これはもしや、私が異世界を救うことができれば現実世界でも役に立つのではないかと考えた私だったが、

話はそう単純ではなかった。

私は完全に異世界に入り込んでしまい、おそらくこの異世界(げーむ)をクリアしなければ現実世界に帰還できない。

そう自身で悟ったのだった。

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