第16章、友達との再会

「お父さん、お母さん、いってきまーす」


浩太の元気な声が家中に響きわったった。


「いってらっしゃい」


家をでるとすでに大勢の生徒が歩いていた。


しばらく歩くと長い塀が続いていて、その先が開けている。


「かかしさん、あの電信柱がたっている角を曲がれば、もう学校が見えてくるよ」


角を曲がりかけたその瞬間誰か後ろから浩太の腕をつかみ、そのまま引き戻した。


「痛い、誰だよ」


「ごめん、痛かった、久しぶり」


「あっ、修一君、久しぶり。

元気だった」


「うん、それよりこの先のコンビニの所で不良たちが近ごろよく待ち合わせしているんだ。

他の道を通ろう」


すこし遠回りだが、修一に導かれ、学校へとむかった。


かかしは浩太に尋ねた。


「浩太、この子誰だい」


「うん佐藤修一君っていって、病院で君と始めて話したときに教えたんだけど、以前いじめられていて助けた人だよ」


「そうか、今度は逆に助けられたね」


「そうだね」


「それより、学校に居る間不良達と顔あわせるんじゃないかい」


「それは大丈夫、クラスが違うからとりあえず教室にはいれば大丈夫だよ、それより久しぶりの教室の雰囲気の方が気になるよ。

みんな快く迎えてくれるかな。

さいわい修一君が同じクラスっていうのがすくいだよ」


緊張して教室のドアをあけたが、誰一人浩太を迎えてくれる同級生はいなかった。


しかし修一はそんな雰囲気をよそに浩太を導いて席についた。


「みんな、知らんぷりだな」

かかしは、予想以上にみんなが無関心なのにおどろいた。


「たぶん修一くんと僕が不良に目を付けられているのでみんな関わりたくないんだよ」


教室の中はまるで浩太と修一の存在はないもののように感じられる空間だった。


次回、第17章、新たな出会い。


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