第20話 若い雪女

「凍死者が続出?」

私は珍しく萌香さんとS区のセンターに来ていた

センターと言っても場貸家である

今もどこかの学校がライブをひらいてる

バリバリのロック聞くのは嫌いじゃない

客を集めたきゃナチュナルにしなきゃだとは思うが

「最初はC区の雪姫が暴走でもしたかと思ったんだが」

「冗談じゃない雪姫が人間に混じって暮らしだしたのは

江戸初期よそれいらいネットワークでの殺し以外してないわ!」

「萌香さん落ち着いて本人からも心辺りがないことは確認している」

「念のために3日同行者もつけて生活したが死者の数は

昇り調子雪姫におかしなそぶりはなかった」

「それ憤怒のごとく怒ったでしょう?」

「怒られました。時間の無駄だと」

「で凍死者の調査は?」「えーと、来た来た」


「お久しぶり元気そうでなによりだわ」

「坊やがずいぶん怒らせたようだけど結果なにかわかったの?」

「たぶん私とご同類。女は無視、子連れも無視、女の香りが残ってる」

「雪女ほぼ確定?子連れを無視してるならほぼ確実ね」

「問題は今になって何故突然にかよ」「後相手のレベルね」

「とにかく狩りだしましょう。本人に聞くのが一番だわ」

「死者の動きから言って今晩辺りからC区に入りそう」


「それじゃ夜に」

「私は後部座席に」「わかったわ私が前ね」

「殺さずとらえられる?」「私じゃ厳しいわね」

「炎と氷だもんね。親友だと聞いた時にはびっくりしたわ」

「一緒に仕事してたしね。同じ座席に呼ばれた日には

地獄を見るかと思ったわよ」

「あ、それで職場移ったんだ?」

「銀座から引き抜きがあったしね」

「すごい一流店かぁ」

「一流というには一声ほしいけどね」

「それで死者の9割がホームレス一人は確実にとらわれてるけど

その余波で2.3人死んでる感じ」

「今年は異常に寒いというのがホームレスたちの見解」

「今月に入ってもろ死者が急上昇しているけど

中には帰りすがりのサラリーマンもいるみたいよ」

「見境なしか」


それで夜を待つことにする。アパートからはかえでちゃんとかずみ君

それから火炎姫に私と暁子さんを応援に呼んで雪姫を加えて

2人ずつ行動して探していった今日は発光に打ち上げ花火を用意

かずみのところで花火が上がるかずみは今日はマネキン人形を用意

雪女を束縛。外に連れ出すがそこで雪女は氷のハリケーンになった

ところをかえでがすかさず属性変換風にするむろん向こうでも抵抗する

のでそこで立ち往生だ。人が多すぎる

「かえでちゃん場所かえよう」かえでは属性変化をとりやめ

雪姫がハリケーンになる二つの氷のハリケーンは重なり移動を始める

時々離れようと試みるが強さが圧倒的に違うらしくはがれそうに

なってはひきもどされ近くの小さな公園にくる

2人ほどいたホームレスを人払いし封鎖結界をはる

そこで雪姫は人の姿に戻ったハリケーンのまま公園を出ようとするが

暁子の結界のが強いでるにでれない封鎖結界簡単に破れる奴ばかり

の話をしていたから使えない結界と思えたろうがこれで普通なのだ



逃げ出せないとすると仕方なく人の姿になる

ここは誰よりも雪姫の出番だろう

「名前は?」「小雪です」

「歳は?」「たぶん大正の初めくらいかと」

妖怪には年齢を覚えてないのは珍しくない

最初はおぼろげに妖怪になり少しずつ形つくられる

「何故今になって人殺しを始めたの」

「愛しい人を殺してしまったから…殺すことが宿命だから」

「愛しい人って年齢は?」「94歳」

「力の発動を誤ったのね?」

小雪は無言でこくんとうなづく泣きながら

「ずっと一緒だったのに天命を奪ってしまった」

「それは違うよ」とかずみ「奪われることが天命だとさ」

ほらとマネキンを押す女のマネキンから男の声がする

「小雪やつらいおもいさせたね。お前に殺されるなら本望じゃ」

「歳をかさねるごとにお前さんの冷たさが身に染みる

ようになっとった。それでも94まで生きられたのはひとへに

お前さんの心使いじゃありがとうなぁありがとな」

小雪はマネキンにしがみつく友一さん友一さんと

しばらくするとマネキンが粉々にパリンと割れた


魂がかずみの手の中に戻る「もう返していいね?」

小雪はこくんとうなづいた

「これが私愛するものを傷つけてしまう…今のマネキンも…」

「だからちがうんだよ。愛してれば傷つけ合うこともある」

「友一さんの魂を受け取ってみるかい?本当にそれが最後になる」

「雪女の魂は魂さへ氷つかせるよ?でも友一さんは迷わない」

小雪は首をふるかずみは魂を手放した天に登っていく

「俺は小学生だからよくわかんないけどさ。本気で愛してるなら

天命が90から30に減ったってかまいやしないんじゃないかな」

「すくなくとも90すぎてたなら小雪さんの力が無くても

いつでも死んでておかしくない年齢だしさ」

私は後ろからぎゅっとかずみをはがいじめする

「なんだよ美穂ねー離せよ」

「だってすごいんだもん固有の魂降ろしたりさ、説得力なんか

身につけちゃってウリウリもう大人の仲間入りじゃん」

「小雪さんかずみの言うとおりだよ。小雪さんがいなきゃ友一さんは

90まで生きてなかったとおもう。一人にさせまいと必死だった」

「つきましてはネットワークに所属し力のコントロールを学び

ネットワークの一員としての狩りだし以外の殺人を禁止します

できますか?」

「できなければここで死んでもらいます」


「ころしてください。私はころしすぎました。」

ふーっとため息をついて火炎姫が小雪をだきしめる

滴ってく水もう溶けきる寸前「待って!」火炎姫が離れる

かわりに氷のハリケーンを雪姫がつくる

むくむくっと人型の小雪に戻っていく

「死んでもいい気があるならもう一度だけ考えて

友一さんは貴方の事を待っててくれるかしら?

死んできた貴方を黙ってうけいれるかしら?

私たちが貴方を殺すことがどんなに辛いかわかってるのかしら?

「辛い?」

「あったばかりなのに?」

「辛いよ」とかえで「萌香さんが流した一粒の涙が

あなたの体の一部になってるきづかない?どんなに辛いか?」

「あ…」からだから真っ赤な炎の粒がでてくる

ぽっと落とすしゅっと消える

「宿命なのよ火炎系、水氷系の死んだほうがましかもしれない

そう思ったから消そうとした」首を左右に振る

「望んだからと言ってそんな殺しはしちゃいけないわね」

「そうよ萌香らしくない」

「萌香も私も辛い恋の一つや二つは経験してる」

「でもいきてるわ。生きなさい小雪。死んだ人の為に

死んでいった人の分まで私たちにはそれができる。」

「人間にはできないことね」

「死ぬのはいつでもできるしネットワークでがんばってみない?」

「はい」虫の羽音のようにか細い声が聞こえた

「それはいいけど15.6歳よねぇ」学校は?「いえ、全く」

「ネットワークの塾で小学からやりなおしだねぇ」

「はぁ…私生活に困ったことはないですが」

「籍の問題よ。一応つくっとくの」

「いろいろと面倒だからね」

「はぁ」

「そこらはS区のセンターにおまかせで大丈夫

頑張って生きようね」


「で萌香」と雪姫「何」バッチンっと平手打ち「血迷っちゃだめよ」

「そうね」と萌香「鵜呑みにして殺そうなんて短気すぎたわ」

「辛いのは知ってるけどね」

「なんかあったんですか?」と私

「いろいろあったわよ嫌になるくらい生きてるんだもん」

「それもそか。最初からコントロールマスターしてるわけじゃ

ないですものね」

「今はいいわよネットワークなんか作って電話や無線でやりとりして」

「昔は孤立してる妖怪が多かったからねえ」

「でしょうね」

「小雪さん人間名は?」「小雪です」「そのまんまね了解」

「よろしくね辛いこと不安なことはいつでも相談のるからね」

「仕事は?M社の冷凍庫で働いてます」

「そりゃいい適任だぁ…てことは籍がある?」「かも」

「そこらへんも整理しようねリセットしたほうがいいし

ギリギリ18で押し通すかな」


結局小雪は16歳中卒で勤務してることになってていま18歳らしい

ことが判明

見た目15.6なので妥当だろう

小学校からの教育を仕事の合間をぬって勉強し社会に溶け込んで

いった。ネットワークはS区在中なのでS区おまかせで

調度よかった。こうして自棄っぱちでおきた凍死事件は無事に終了

今は何事もなく過ごしている。


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