第16話 穴あき男

「キャーッ二人ともなにしてるの」

「何って輝(てる)ちゃんが雷の鞭振り回すから」

「炎で受け止めてたの」

くらくらってくる輝が雷の鞭?まだ5つよ

それをどうやったら炎で受け止めれるの?

しかも燈紫(ひし)ちゃんだって小2よ

「あのまずかったですか?」

「まずいというかまさか素手で

雷の鞭を受け止めるわけにはいかないし

でも炎でどうやって受け止めてるのかもわかんないし」

「こうです」「てるちゃんぶるぶるしてー」

「あいー」

ひゅんひゅん物が落ちないか心配しながら見守ると

炎が巻きついて長々飛びの紐みたいになった

「てるちゃんお上手ですねー」

「せーのでプッツンいきますよー」「せーのー」

シュンという音と、ともに消えた

私はへなへなへなと座り込む

「大丈夫ですか?」

「あんま大丈夫じゃないかも」

「え?どこか当たりましたか?痛いとこありますか?」

「そうじゃなくて輝よ。母から結界師の力を

父から攻撃の鞭の力を受け継いでる…滅茶苦茶危険度高い」

「大丈夫ですよふりふりしてても物に当たらないように

気をつけるくらいの知恵がある子ですもの

きっといい子に育ちますよ」

「当たり前よ。いい子に育たなきゃ、ぐれたら殺すしかない…」


「へーそりゃ凄いじゃないか俺の力も受け継いでるかな

早く射撃練習させたいもんだ」

「そんなのんきなひとに見られたらどうするんです。

制御する方法だってつかっていい時だって教えなきゃですよ?」

「部屋でつかうぶんくらい多めにみろよいい練習になる。

そとでは使わせないようにしからなきゃな」

記憶消去これから何人にかけなきゃいけないかと思うと

うんざりだわ」

「そう言うなって結界師の能力も輝の為に持って生まれた

そう思えば悪い話しじゃないだろう」

「そうかもだけど私は治癒師よ結界には限界があるわ」

「なら治癒の力でどうなるか試してみればいいじゃないか」

私はぽんと手を打った。雄一郎いいこという。


「輝、ふりふりしてー」「あい」

手に治癒をかけるなんともない

治癒結界をかけるシュンと消えた

今度は昨日のような紐を作ろうとした

私の力のほうが強すぎですぐ消えてしまう

微調整が難しいそんなことを何回もしているうちに

輝は飽きておもちゃで遊びだした

なんたって5歳の子供なのだ

でも小学に入るまでになんとかしないと

外で使おうとする度に手をパチンと叩いてしかる

「輝の力は特別なものなの普通の人がみたらこわがるのよ」

そう言って丹念に何度も繰り返しいい聞かせる

繰り返し繰り返しそれは私の口癖となり輝が中学に入るまで続いた。


とある夜輝を抱いて歩いていた。そろそろ歩かせなきゃいけないのだが

最初の子ということもあって甘やかしてしまう。しかし重たい。

降ろすと走り出す。ちょっとまて。準備が

あわてて運動靴のかかとをしまいながら走っていく

追いついて手を握っても一目散に走ってる

そのうちに妖怪の気配。抱いて立ち去ろうとしたが間に合わなかった

「うまそうな餓鬼と女だ」一人近くで立ち往生している

うぉーっという声とともにマントをひらくとそこには暗闇が

あるだけだった。立ち往生している女の子が吸い込まれ…ない

輝が鞭でそのこの片手をしばりあげてる電気ショックなので

気をうしなったみたいだが私は手に治癒をかけて鞭をぐるぐる

手に巻きつけるほどなくして女の子はでてきた

「邪魔をするなー先にくってやる」ばさっと飛んで目の前に着地する

輝の鞭が相手の首にまきつくと同時に私たち二人も吸い込まれる

輝の力比べ次第か。また片手で巻き込みながら入り口に近づこうとする

するが輝より私を吸い込もうとする力が強い輝の鞭が外れる!


ズッキューン銃声の音

引き込まれたはずの体は外に放り出された

「雄一郎」「間に合ってよかった」

灰になった体が風にながれていく

帰ったらいないし無線ではB地区に

穴あき男が移動したと言って要請がきてるし

慌てたぞ

「慌ててくれたおかげで助かったわ

輝の力じゃ私までささえきれない

覚悟を決めた瞬間だったもの」

「よしてくれお前の親じゃないんだ

片親で育て上げるほど俺はできちゃいないぞ」

「まぁ生きてるしいいじゃない

それより電気ショックで気を失わないかひやひやしたわ」

「しなかったんだろう」

「かろうじてね。心神したらおわりだと思ったから

それより帰りましょう。ひとり女の子が目撃してるわ」

「消えたほうがいいでしょう」

「そういえばよく場所がわかったわね?」

「萌香が火呪いをしたんだ

妖怪のいる場所がだいたいわかるらしい

後は文子が管制約を努めて移動している妖怪を把握して

そんなことしてるうちに道端で妖怪が動いてない知らせが来て

慌てて飛んできた」

「ありがとう」

「美穂さん大丈夫」

「燈紫ちゃんもでばってたの?危ないらお留守番してなきゃ」

「だって萌香さん動けないし、見つけるだけなら私でもできるし

ほら無線機も借りてきたんだよ。」

私はよしよしとなでながら「ありがとうね」

「今日は輝がいなかったらと思うとぞっとするわ」

「まぁいなきゃ結界張って閉じこもっていたろうけどね」

「女の子が助かったのは輝の手柄よ」

「そっか輝君もがんばったんだ」と燈紫ちゃんもよしよしする

「きゃっきゃっ」と声をあげる。こんなところはこどもなんだがな

もう5歳になるのに心配してしまう。やっぱり甘やかしすぎ?

「燈紫ちゃん連絡、穴あき男は灰になりましたって」

「了解」「文子さん聞こえた?」「OK全部聞こえてた」

「夫婦のかいわまで伝えんでいいーっ」

今度は燈紫ちゃんの頭をがちゃがちゃとなでた

「あははははは」

「萌香さんはいいママなんだね。そんな笑い声始めてみた」

「そうだっけ?萌香さんは優しいけど放任昼間寝てるもん」

「ちがいない」と私も笑う

輝にとってこれが本人の記憶にないデビュー戦となった


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