すいません...

まさか小春さんが社長令嬢だったなんて...

「すいません...自分から言い出しにくくて...」

「うん、そりゃそうだよね...」

自分から私お金持ちです、なんて言いにくいよね...

「改めて自己紹介させてもらいますね?

私、九条小春くじょうこはるって言います。これからも普通に接してくれると嬉しいです...」

と言って頭を下げる。

「今まで好奇の目で見られることが多くて...今まで友達がいなくて...」

すると千尋の方を見て、

「千尋ちゃんには本当に感謝してるんです。クラスの中で唯一私に普通に接してくれました。」

...小春さん多分だけど千尋は...

「私、多分小春が言ってくれた時に初めて知った。」

やっぱりそうだった...

「ううん、理由はどうでもよくて、私に普通に接してくれたのが嬉しいの。」

やっぱり社長令嬢にはそういうこともあるんだな...僕にはわかんないけど...

「お兄さんならわかってくれますよね...?」

え?もしかして僕理解を求められててるの?

「確かに、にぃいつも皆に見られてる。」

え?あぁ、そういえばそうだった。

「今日の朝は色々あったから気になったけど...僕そういえばいつも見られてたね...

「そりゃあにぃみたいな女の子か男の子かわからない人がいたら見る。」

「えぇ?僕は男男しい男だよ!」

「にぃ、なに言ってるかわかんない。」

千尋は本当に困惑した顔で言う。

「千尋?冗談って分かってるでしょ...?」

「わかんない。」

ほんとにわかってないじゃん...恥ずかし...

「と、とにかく!慣れてたからあんまり気にしなくなってたなぁ...」

「にぃ、そういうところ...」

「はい...すいません...」

「お兄さんはすごいですね...」

「まぁ千尋と仲良くしてくれて僕も嬉しいよ、千尋人見知りだから。」

「むぅ、そんなことないもん」

「へぇ、最初の自己紹介上手く出来なかったってしょんぼりしてたのは誰だったけ?」

「にぃ、それは言わない約束。」

「でも私初めて千尋ちゃんに話しかけた時は無視されてちょっとへこんだなぁ...」

「ご、ごめん...なんて返せばいいかわかんなくて...」

「ううん、いまならあの時の千尋ちゃんの気持ちもわかるから。」

「ん、ありがと...」

 千尋は色んな人から感情がないみたいに言われがちだけど見えにくいだけでちゃんと色々考えてるんだよね。

それをちゃんと理解してくれる人がクラスの人にいてよかった。

「改めて自己紹介も済んだことだし、そろそろEON行こっか。」

「はい!」



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