第46話 復讐
「『『『
そこは町内の芝生広場。
炎の壁に囲まれた空間。
地球連邦軍のブランクラフト
『
「承知‼」
「
「おお!」
巡航形態での機種付近、キャノピー部とその周辺から成るコクピットブロックが横倒しになっているのを見つけた。
キャノピーが開いており、中に
「あ、ああ……!」
ガン!
ガン!
ガン!
ガン!
ガン!
「くたばれ! この悪魔め‼」
「息子のカタキじゃ‼」
「月の化物が‼」
「お母さんを返して‼」
「ジーンリッチは皆殺しだ‼」
すぐそこの路上で老若男女の人だかりが、その中心で倒れる帝国軍のパイロットスーツ姿の人物──
服装からして全員、民間人。
「ガルーダ!
ブランクラフトの操縦は主にスティックとペダルで行うが、それは移動や攻防の大まかな指示を出すもので、そのために機体の関節をどう動かすかはAIに任される。
そういう細かい挙動までパイロットの思いどおりにしたい時は、スティックとペダルではなく思考で機体を操るBMI──ブレイン・マシン・インターフェース──を使用する。
「うわっ‼」
「あッ⁉」
「ひぃッ‼」
「
ヘルメットを脱がされてメッタ打ちにされた
「サ、ナ、ト……」
「イ──マミヤ?」
傷だらけの顔に涙を伝わせながら、
「カタキ、を」
「なッ……‼」
カタキを討ってくれ、そう言うのか。
「うおおおお‼」
「このヤロー‼」
ガイン‼
カーン‼
今この
殺せと。
自分たちルナリア帝国軍の目標はあくまで地球連邦軍の施設や兵器や軍人。それらへの攻撃に巻きこんで結果的に連邦の民間人を死なせることは戦争行為の一部だと受けいれた。
民間人でも脅威となるなら反撃もやむなしだが、自分たちがブランクラフトの中にいる今、彼らの武器は脅威にはならない。
そんな無力な民間人を、巻きこむのではなく彼ら自体を狙って殺すなど……戦争ですらない、なんの大義もない暴挙。
むしろ復讐の正当性は彼らにある。
彼らひとりひとりの直接的なカタキが
いつか交わした会話が脳裏に響く。
⦅マミヤ、アートレス全体を憎むものではない。故郷で貴殿を虐げた者たちがアートレスだったからと言って、そやつらとは別人のアートレスたちまで恨む道理があろうか⦆
⦅あるでおじゃるよ。無能なアートレスなぞ、どいつもこいつも同じに決まっておろう⦆
⦅
⦅その者は今なにをしておる?⦆
⦅……なに?⦆
⦅
⦅それは……⦆
⦅
⦅マミヤ……⦆
そんな
「ギャァァァァ‼」
「イヤァァァァ‼」
「お母さぁんッ‼」
全周モニターに映るその様子に涙しながら、
「見えるか?」
「おお……
「そうか」
こちらが
だから、わざわざ口にして頼んだのだ。
その最期の願いを蹴ってまで正しさを貫くには、すでに
「あとは貴殿を倒した心神の──」
「ううん……もう、いいよ」
「⁉」
「ありがとう……ごめんね……」
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