第9話

「お嬢様、旦那様がお呼びです」


メイジーが部屋にいた私を呼びに来てくれた。


「お父様、お呼びですか?」


「あぁ、リア。そこへお座り」


私はお父様に促されるように座るとお父様は微笑んでいた。


「先程、ラストール公爵から謝罪の手紙が届いた。リアはどうしたい?」


「私はどうも思いませんわ。強いて言うのならもう、私には関わらないで欲しいくらいでしょうか」


「そうか。分かった。公爵家からは謝罪を受けるだけにしておこう。そしてマリーナ嬢と言ったかな?彼女は普段から爵位や妃候補筆頭を盾に王子妃候補者達に過激に牽制して回っていたようだ。妃候補を辞退して修道院へ向かうらしい」


「そうですか。ライアン殿下の妃が早く決まると良いですね。ところでお父様、私。王宮魔導師になりたいと思っています。そうすれば王宮で生活する事になりますが、自分の身の安全も守れますし、殿下と婚約をしなくても良いでしょう?


私も貴族の端くれですからいずれは結婚したいとは思っています。けれど、お兄様のような素敵な方と結婚がしたいのです。お父様やお母様のような温かで愛に包まれている家庭が欲しいのです」


お父様の顔が緩んで大変な事になっています。


「そうか。リアの気持ちは分かった。すぐに王宮魔導師の試験申請を出しておこう。リアは過去(前世)に実際の現場で働いていたのだから充分実力はあるのだろう。光属性持ちの保護も兼ねて試験はすぐ行われると思う」




 公爵家からの手紙が届いた日の翌日、早くもクラスではマリーナ様が王子妃候補を辞退し、学院を辞めたと噂で持ち切りだった。クラスメイトから聞いた話によると、マリーナ様が主催される王子妃候補者達のお茶会はお茶を掛けるのは序の口。水や泥。突き飛ばし等、過激な事で相当有名だったらしい。


これでライアン殿下の妃候補者達は平穏になるかと思いきや、他の候補者達もマリーナ様と似たり寄ったりだそうで当分争いは続くみたい。


女って恐ろしい。


マリーナ様が王子妃候補を辞退するとなると絶対アイラは黙っていないはず。アイラをどうやって黙らせたのかしら。


 入学当初からゴタゴタで毎日大変だったけれど、マリーナ様が居なくなりクラスに平和な日々が訪れたわ。私はというと、長期休み前の試験も難なくクリア。1位では無かったけれど、5位には入っていた。お父様もお母様も褒めてくれたわ。もちろんお兄様は毎回1位で涼しい顔をしていた。ライアン殿下の側近になるほどだものね。


優秀過ぎる!とお兄様にごねてみたが、ふふっと微笑みながら躱されてしまった。私はいつまで経ってもお兄様に勝てる気がしないわ。


 それと長期休みに入ってから王宮の魔導師の試験も受ける事が決まったの。魔導師の試験は基本的に3年生の後半で受ける物だけれど、私の身の保護もあってかしら?


まぁ、私は学科は復習で何とかなるし、実技は光魔法は大丈夫。前世は学院卒業前から実地訓練と称して治療に駆り出されていたし、卒業後も結婚する直前まで働いていたもの。水魔法はただ今訓練中だけど。やはり水属性の実技が弱いかなぁ。その辺は残り2年の学生生活と家庭教師で何とかするしか無いわ。

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