第46話 クロスローズの夜

 

 腕輪の実験を終えた俺達はクロスローズの町に戻ることにした。

 町では異常気象が起きただの、空が割れただの、ドラゴンが暴れたかも知れないだの、ちょっとした騒ぎになっていた。


「結構離れたと思っていたが、やっぱり少しやりすぎたのかな……」


「いえいえ、さすがはリッキー様ですよ!

 また貴方の伝説が始まろうとしているだけですよ!」


「魔力は数分しか持たないけどね……」


◇◇


 その後買い物から帰って来たクリスさんたちと合流して俺達は時間より少し早くトレイシーの予約してくれた店に入った。


「師匠……とんでもなく豪華な店ですね」


「しかも明らかにVIO席に

 通されたわね……」


「VIP席ですよメイさん。

 VIOはデリケートゾーンです……」


「いらっしゃいませ。

 歌姫トレイシー市長のお客様と

 お伺いしております。

 本日はクロスローズシティ最高級の

 ディナーショーをお楽しみください」


「え??

 トレイシーっていつの間に

 市長になってたの!?」


「あの子ったら、いつの間に……」


「歌姫で市長って何か凄いですね……」


 俺は少し緊張しながら席でクリスさん達にテーブルマナーを教えているとジェイ達が到着した。


「なんだか……スゲエ店だなおい!」


「ジェイ、恥ずかしいからあんまりデカい声出さないでよ」


「ウェイターの人よ、俺の斧を預かってくれ」


「カイル!

 あんた何で斧なんか持ってきてるのよ!」


「ん?レオナも声が大きいぞ」


「お!ドロナックの英雄リッキーリード!

 クリスとメイさんも!

 それにリリアンもいるのか!?

 久しぶりだなおい!」


「ジェイさんあんまり大きな声で

 言わないで下さいよ。

 周りの人達がびっくりしてますし」


「今日は遠慮なく御馳走になるぜ!

 もっとも俺達もあんたらがいなかったら、

 この世にいねえから、

 こっちこそ礼が言いたいくらいだけどな」


「いえいえ。

 こっちもクリスとメイさんを

 助けて貰ってるんでお互い様ですよ」


「こんばんは皆。

 リッキーリードさん。

 ちゃんと話すのは初めてね。

 私はレオナ・タチバナ」


「レオナ・タチバナ?

 変わった名前ですね」


 レオナさんはなぜかクリスの方をちらちら見て何か考え込んでいる様子だ。

 それを見てクリスは少し心配そうだ。


「どうしたんですかレオナさん?」


「何でもないわクリス。

 せっかくだから私は赤ワインをお願い。

 クリスもどう?」


「レオナさんそれはやめといた方が良い。

 うちのクリスさんは

 ラグレスタ大陸一の酒乱ですから」


「え?そうなの……」


「それは……否定できません」


 俺達はテーブルを囲って豪華な酒や食事を堪能していると、店内の照明が落ちステージが急に明るくなった。

 魔石照明か。

 中々凝った演出だな……さすが高級店だ。


 ステージからはピアノの演奏が始まり、後ろから綺羅びやかなドレスに身を包んだ歌姫が登場しディナーショーが始まった。


「あれ……トレイシーさんだね」


「あの子ったら自分の店だったのね」


「市長さんもやりながら凄いですね」


 ジェイ達もその光景に衝撃を受けていた。


「リッキーリード。

 あのメイさんにそっくりな人は知り合いか?」


「ジェイさん、彼女はメイさんの妹です……」


 場内は素晴らしい拍手喝采だった、どうやらトレイシーは市長でありクロスローズシティをマフィアから救った英雄で大人気の様だった。

 そしてトレイシーの歌声は俺が思っていた100倍は素晴らしいものだった。


 俺達はショーを見ながら俺の事やドロナック戦争の事、今の世界の事、キングジェイ傭兵団誕生の事など、話題が尽きることなく食事会を楽しんだのであった。


 そして、うちのメイさんやリリアンも料理と酒にご満悦の様だ、そしてクリスさんもワイングラスを両手で持ちながら御機嫌の様子だ。


「……?

 クリスさん?

 もしかして飲んでる?」


「ひっく!わたしが飲んだら

 駄目なんですか!?

 ひっく!」


 その後、店内は修羅場と化したが、今回は数の力でクリスを取り押さえる事に成功して事なきを得た。



        To Be Continued…




:現在のパーティー:


リッキー・リード:

 身長 150センチ

 ドロナック大戦の英雄。

 限定で無双できるようになった。

 


クリス:

 身長 156センチ

 リッキーの弟子。酒乱魔道士健在。


マザーメイ:

 身長 205センチ

 怪力と硬質化能力、黄金化ゴールデンマザーメイに変身出来る。

 元シスター。


リリアン・ブラッドフィールド・リード:

 身長 177センチ

 リッキーの養子兼ボディーガード。

 変態魔法戦士。

 魔族大陸グランデネロの【血の戦場の狂戦士リリアン】。

 

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