第24話 初イベント 4

 チシャを隠し続け、なんとか夜までバレずにやってこれた。今から始まる肝試しイベントを乗り越えれば、後はテントで寝るだけだ。

 さて、さっさと済ませたいし俺の相手を探そう。女の子だといいけど。

 この世界に来てからヤローとしか話してないから、そろそろ女の子とお近付きに……。


「「あっ」」


 番号が書かれた紙を持って指定された位置に行くと、同じ番号の紙を持った蓮がいた。

 ……うん、まぁ、予想はしてた。そういう世界だから予想はしてたさ。


「俺の相手は蓮か、よろしく頼むよ」

「うん……」


 気のない返事をされる。そしてなぜか目を合わせてくれない。いつもならじっと見てくるのに。


「蓮、もしかして体調悪い?」

「べつに……」

「本当か?元気ないように見えるけど……」


 熱でもあるのかもしれないと思い、手を伸ばすと、パンっと弾かれてしまう。


「なんでもない、から……!」

「……そっか、悪い、ウザかったな」

「あっ……」


 目をそらすぐらいだから、顔も見たくないと思い背中を向ける。

 あーあ……仲良くなれたと思ってたのに。いつの間にか嫌われるようなしたんだろう。好感度がマイナスになるのは避けたいし、後で謝らないと。


「はぁ……」


 いや、違うな。好感度が高い低いよりも、蓮に嫌われたことが結構キてる。

 動揺してる心を落ち着かせるために、ポケットで眠るチシャに触れる。そして気まづい空気のまま、俺たちは肝試しのスタート地点に立った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る