ストーリー143~146
ストーリー143:作戦2日目そしてガット訪問
登場人物
バンズ、ガルシア、ポートル、ラムル、ピコ、ピク(台詞無し)、シェルナ、ガット、ガルアム
今朝早く、ルイスからの連絡の後、皆んなへの連絡に取り掛かっていたバンズ。
バンズ「こちらドック。おはようございますガルシアさん。聞こえますか?」
ガルシアoff「おはようバンズ。夕べ遅くにポイント1に到着。姿勢制御をしながら停泊中よ。周囲に異常無し。」
バンズ「退屈しのぎは出来てますか?」
ガルシアoff「私は
バンズ「了解、ガルシアさん。……ポートル?マーデクト聞こえる?……マーデクト、応答お願い。」
ガルシアoff「あら、航行中ではもう聞こえない所まで進んでるのかも。OK、こっちで連絡引き継ぐわバンズ。ポートルとラムルからはデータ転送を待ってて。」
バンズ「了解、ガルシアさん。ではお願いします。」
ミクラットのメインルームに画が変わる。
ソディナは壁のモニターで天体観測中の画。
モニターテーブル前のガルシア。
ガルシア「こちらミクラット。マーデクト聞こえる?」
ポートルoff「おはようございます、ガルシアさん。感度良好、周囲異常無し。」
ガルシア「おはようポートル。もうバンズのドックからはポートルへ通信は届かないみたい。この音声はバンズにデータ転送してるわ。……カーラントは聞こえる?」
ラムルoff「おはようございますガルシアさん。こちらも感度良好、周囲異常無し。」
ポートルoff「マーデクトは夕方には目標地点に到着するわね。その頃になるとガルシアさんからラムルへは通信出来なくなりますがデータ転送はしっかり行います。」
ガルシア「そうね、そうなるわね。……ラムル?聞いてたかしら?ポートルがポイント2に着く頃はあなたとポートルの通信よ。2人共、もうノアーナには連絡出来ないわよー。」
ラムルoff「了解ガルシアさん。ポイント2を過ぎたらポートルとの連絡にします。それまでの緊急事態には備えておきますね。」
ガルシア「了解。じゃあ2人共、夕方の連絡待ってるわ。」
一旦通信を終えると、バンズのドックに切り替えた。
ガルシア「バンズどう?こっちからのデータ転送は?」
バンズoff「OK、感度良好。ポートル、ラムル共に問題無くて安心です。若干タイムラグ出てますが、問題無いです。」
ガルシア「了解バンズ。夕方以降は私が通信を引き継ぐわ。バンズは転送の状態を管理してね。それでは夕方の通信まで待っててねー。」
再び画面がバンズのドックに。
バンズ「ピコ、緊急連絡の為にモニターテーブルで待機して。アタイは船の側に居るから。……ピクは一緒よ、おいでー。」
ドック奥からピクと一緒に入ってくるバンズ。
バンズ独り言off「じいちゃんのパーツ接合を見ておかなきゃ。大気圏内昇降用のブースターはどう接合してあるんだろ。メイン機関も同じ工法よねぇ……。重力コントロール機器類は……。あ、ピク。飲み物を用意してそこで待機しててね。……うーん設計図では推進機関は1機の様だけど、量子エネルギー圧縮部分は大きいんだ。据え付けは大変になりそうだな。」
設計図毎に船に張り付けて回るバンズの画。
バンズ独り言off「重い機器類を設置するためのクレーンが必要になるなぁ……アタイは扱った事ないや……。これはマットさんに相談してみるかー。」
バンズはピクの横に座ると、メインルームのピコを呼んだ。
バンズ「ピコー。ちょっと来てー。」
しばらくしてピコが横に来た。
バンズ「マットさんのモニターテーブルに繋いでくれる?」
ピコ「了解、バン。……。……。繋がりました。どうぞ。」
バンズ「マットさんですか?」
シェルナoff「おはようバンズ。シェルナよ。今日は主人に何か用かしら?……主人、今朝早く出掛けて、ビブレスの展示会の打ち合わせで留守よ。」
バンズ「そうでしたか……。あの……船の作業でちょっと相談があったんですが。」
シェルナoff「あぁ。それならガットでも分かるかも。今ハンジャの中だから、ガルアムに繋ぎ直したら話せるわ。」
バンズ「ありがとうございますシェルナさん。連絡します。」
一旦アリントス邸のモニターテーブルと通信を切ると、
バンズ独り言off「そっか、ガットもメカニックなんだもんね。相談してみよ。……ピコ、ガットのガルアムに繋いで。」
少しの間……。
ピコ「バン。ガルアムに繋がりました。」
ガットoff「こんにちは、バンズさん。初めまして、ガットです。それで今日は何か?」
バンズ「ちょっと相談したくてね。アタイのドックにはクレーンが無くて、重量物の設置の為に必要なんだけど、今更クレーンを作り付けるには手間と材料が必要でさー。何か良い方法が有れば聞きたいんだけど……。」
ガットoff「大きい油圧バー2台、有りますか?」
バンズ「うーん、それは1台しか持ってない……。しかも使用中。」
ガットoff「クレーンが無くても油圧バー2台で作業出来ますよ。……そうだ。僕のを貸しますよ。今は使ってない物だから。」
バンズ「ホント?助かるー。他には何が必要?重量感知式のチェーンブロックなら有るけど。」
ガットoff「それが有れば十分です。あとは天板を少し加工して作業出来ますよ。……そうだ。ラムルさんが、ハンジャを見せたがってましたから、ハンジャで油圧バーのセット一式届けますよ。」
バンズ「何から何まで悪いねぇ。ここへ来れば、もれなく組み立て中の船が見られるからそれで許してー。」
ガットoff「あぁ……それではドックには入れませんね……。」
バンズ「そこは大丈夫。ここ、2階層の駐機スペースなんだよ。ハンジャは屋上に着陸出来る。ガルアムがID持ってると思うから、お願いねガット。……じゃ、待ってるー。」
一方、通信を終えたアリントス邸。クラフトルームのガット。
ガット「ガルアム。そこの油圧バー2台を、ハンジャに積み込んでくれる?転がらない様にちゃんと
ガルアム「了解、ガット。固縛はロープで良いですか?」
ガット「うん、普通のロープで十分。頼んだよー。」
クラフトルームを出てリビングへ向かうガット。
シェルナはリビングで本を読みながらお茶中。
入ってくるガット。
ガット「母さん、バンズさんのドックに油圧バーを運んでくるよ。バンズさんの所で必要なんだって。ハンジャで行ってくる。バンズさんとは初めて会うから、少し話してくるね。」
シェルナ「いいわよ、いってらっしゃいガット。」
アリントス邸ドックから水平航行で出てくるハンジャの画。
そのまま上昇、飛び去る画まで。
ストーリー144:スパイ⁉︎
登場人物
バンズ、ガット、ピク、ピコ、ガルアム、ルイス、ジック
ピクの横に座っているバンズ。
バンズ「ピコ、ガットのハンジャの着陸許可。屋上に来るから。……アタイはエレベーターを上げとこうかな。」
エレベーターが上昇、屋上に出るまでのアオリの画。
バンズ「ピコ、ガルアムに繋いで。」
ピコ「了解、バン。……。……ガット様応答しました。」
ガットoff「バンズさん、ID許可が来ました。ありがとう。まもなく着陸します。」
バンズ「あれれ⁉︎早いね。じゃあ、着いたら、床の角にエレベーターが有るから、荷物ごと降りてきてねー。」
ガットoff「了解、見えてきましたよ。もう着陸です。それではエレベーター使いますね。」
スピード抑制の旋回後、下降するハンジャの画。
画面変わって、エレベーターで降りてくるガット達の見上げる画。
ガットが船を見回している。
下に降りて出て来るガット。
ガット「ガルアム、船尾側に降ろしたらこっちに来てね。」
エレベーターの所にバンズが歩いて来た。
バンズ「初めましてガット。わざわざありがとう。あ、このエレベーターの電源は手動で切るんだー。ごめん。」
バンズはエレベーターのパネルの操作に。
その横をガルアムは油圧バーを運んでいる。
ガット「それからこれ。バンズさん手伝ってください。僕はこれを運びますから。」
バンズ「プレート4枚、その半分のプレート4枚…⁉︎。」
ガットはH型ダイム金属の柱を担いでいる。
ガット「バンズさん、1度に運んでみてください。驚きますよ。」
バンズ「ぜ、全部⁉︎ウロムナじゃAnnでも無理だよぅ……。……⁉︎えーっ⁉︎何これ?軽い!」
ガット「ダイムですよ、バンズさん。父さんが仕事の為に作ったんです。ボルトセットはウロムナですけどね。」
ガットは2本目を担いで来る。
ガット「バンズさん、天板はウロムナなので1枚ずつ2人で運びましょう。船尾で組んでから、使う場所まで移動させるんです。……あれ?今日は皆さんは居ないんですね?」
バンズ「あ、あぁ。今は
ピクテーブルとピコの側に歩いて来た2人。
バンズ「この子はピコ、そしてピクだよ。……ガルアムもこっちへおいでよ。……ガット、普通の椅子だけど掛けて。」
ピクがガットに向き直ると、
ピク「ガット様?でよろしいですか?……飲み物はいかがでしょうか?」
ガット「ピクだね?僕はガット、よろしくね。コーヒーをもらおうかな。」
ピク「お好みの温度と砂糖、ミルクはいかがですか?」
ガット「そんな事までやるのかい?……じゃあ僕は温度は普通、甘めでミルク少しで頼むよ。」
バンズ「ようこそ、バンズのドックへ。今後はピクの横に座っていれば、休憩と認識してお好みの飲み物を出してくれる。違うものや断ってくれてもいいよ。……このピクは給仕Annなんだ。」
ガット「へー。これはバンズさんの作ったAnnだね。ビブレスでは無いものだよね。こんなのを展示会に出品したらいいのに。」
ガルアム「ガット様、終わりました。」
言うとガルアムは横に来て待機モード。
バンズ「ううん。ピクみたいなAnnを人に作ったり売ったりする気は無いよ。」
ガット「さっきエレベーターで上から降りてくる時見回したけど、凄い船だね。ハンジャみたいな装甲だ。……あーっと。バンズさんにハンジャを見てもらわなきゃ。さ、ちょっと行きましょう。」
屋上に上がって来た2人に画面が変わる。
バンズ「これがハンジャ?角ばっててカッコいい船だね。……鎧みたいな部分はダイムだね?一回り見せてねー。」
ハンジャを見て回るバンズ。それを見ているガットの画。
バンズ「ガットー。中も見せてもらえるかな?」
ガット「いいですよ。ハッチ開けますね。」
2人はハッチからハンジャの中へ。
ガット「ハンジャは重力コントロールを重視してあるのでほぼ四角い形。大気の中では翼でバランスとってないんだ。バランスコントロールはフライホイールに頼ってるよ。」
ガットは壁面のプレートを開いた。
ガット「高速回転のフライホイールの遠心力を利用してバランスを取る仕組みだよ。フロアの真ん中にも水平を制御する為のフライホイールが収まってる。この出っ張りのボックスに入ってるんだ。大気中ではブースターで長い間同じ場所に浮かべるし旋回も。宇宙空間では急制動や急旋回に一役買ってくれる機能だよ。」
バンズ「なるほど、そういう事か。設計図で分からない部分が分かったよ。接合部分はしっかり溶接接合だね。ありがとう、じゃ下へ降りようか。」
エレベーターでおりてくる画。
ガット「接合部分は隙間なくやらなきゃダメだよ。
下に降り、歩いて向かって来る画。
バンズ「推進機関や量子エネルギータンクなんかの大物をどうするか考えてて、クレーンしかないかなーってね。」
ガット「僕も少しなら手伝いますよ。展示会まではまだ時間あるし、バンズさんには重そうなパーツも僕なら運べますよ。」
バンズ「手を貸してもらえたら助かる。……ルイスさんにも手伝ってもらってるんだ。昨日は床パーツがあっという間に敷き詰められたんだよ。」
そこへ、噂をすればなんとやら、ルイスとジックが入って来た。
ルイス「こんにちは。やっぱりガットね。上から屋上のハンジャが見えたから。今日はラムルのフローター使って2機で来た。バンズのフローターばかり使ってたらバンズが動けないから。」
ガット「こんにちはルイスさん。でもフローター2機って…操縦は?。」
ルイス「私のジックが片方の機体の操縦。しかもマニュアルで飛んだわよ。」
ガット「さすが名操縦士のAnnですね。マニュアル操縦だなんて。ガルアムには出来ないなぁ。」
バンズ「今時、マニュアル操縦でフローター飛ばせるAnnはジック位だよ。」
ルイスはさっさと自分の椅子を用意してピクを囲んだ。
ルイス「ピク、こんにちは。紅茶をいただけるかしら?……さて、バンズにお土産が有るのよ。ガットも一緒に、でもここだけの話ね。……ジック、船の横に今日の画像を見せて。」
ジック「分かりました、ルイス様。」
バンズの組み立て途中の船体に投影された画像。
ルイスoff「ドックに降りた所からでいいわ。」
先送りされる画像。
5番艦から7番艦の画。
バンズoff「これは?」
ルイスoff「会敵対策軍のドックよ。手前が最新の7番艦。それよりZOOMの画像を見て。」
7番艦のZOOM画像が出る。
ガットoff「こ、これはダイム金属のタイル!……やっぱり軍艦にはこうして使っていたのか。」
ルイス「近くまで行けなかったから解析出来なかったけど、間違いなくダイム金属ね。」
バンズ「ル、ルイスさん。それって立派なスパイ行為ですよぅ。」
ルイスはケロッとした表情で、
ルイス「あら、見学させてもらったのよ。忍びこんだわけじゃないわよ。ブロントに案内してもらったんだから公認でしょ。」
バンズ「しかもジックまで入れたんですか?普通は入れない筈ですが……。ルイスさん、また長官をそそのかしましたね?」
ルイス「そそのかしたなんて、人聞きの悪い。ちょっと甘えただけよ。(低音で)文句あるとでも?」
バンズ「い、いえ。何も……。」
ガット「タイルを量産して貼るのはいいんですが、隙間無く貼っても下地はウロムナ金属なので、ウロムナを溶かしてしまう光線を浴びるとダイムのタイルが剥がれていきます。それをどう工作してるのか……。これは内部からしか見られないから無理ですね。父さんがタイルの工法は分かっている様でしたが、手間が掛かるのでやらなかったんじゃないかと思います。」
バンズ「軍艦は軽量化まで考えてウロムナの下地は薄くしてるかも……。強力な武器には弱そうだね……。その点、ハンジャやこの船みたいに、パーツを作れれば下地無し……って事なんだな。」
ルイス「参考になった?私が見た感じだと、直線的な部分には全てタイルが貼ってあったわ。ザクラートの含有量によっては多少厚いウロムナ金属にダイム金属のタイルを貼ることでも軽くはなるものかしら?」
バンズ「それは無理です。ダイム金属でウロムナ金属を浮かせる程の含有量っていったらタイル1枚でも半分以上ザクラートを混ぜない限り浮かべないと思います。」
ガット「物を浮かせる様に作り込めれば可能かも知れませんが、ザクラートは大量には有りませんから……。」
ルイス「使い勝手の悪い金属ね。船には不向きね。……うちのキッチンのボックスが重くて困るのよ。それがダイム金属なら軽くて楽になりそうね。全く別用途になるけど。」
バンズ「材料不足が無ければ普及しそうですけど……。」
ガット「さて、油圧バーの天板に穴開けしてガルアムと一緒にダイムの
ルイス「今日はガットも手伝ってくれるのね。頼もしいわ。」
バンズ「ルイスさんはまたパーツのピックアップをお願いします。昨日の台は自由に使ってください。」
ルイス「次の行程のパーツを用意するわ。設計図で説明してくれるかしら?」
バンズ「今日は船首から接合の残りをやっていくので、コクピット関係のピックアップをお願いしようかな。壁の扉番号の中に収まってます。設計図のパーツ表の横に壁の番号。出してきたパーツは運びやすい場所に集めて置いてくれればOKです。チェックを忘れずお願いします。軽い物ならガルアムに頼んでみてください。ねぇガットー、ガルアムに指示しといてね。それじゃあピコはメインルームで緊急時の為に待機しててね。」
ガット「了解。……ガルアムー。僕の方が終わったら、ルイスさんの指示に従ってパーツのピックアップを手伝ってね。ついでだから、君の認識フィルターのレベルを下げておいて。」
ルイス「ありがとうガット。では私はコクピットのパーツね。了解!」
簡易クレーンが組み上がって、ガットはバンズと接合作業をしている画。
壁の扉の下ではルイスとガルアムがピックアップ中の画。
ルイスの届かない高い所からピックして、ルイスに渡すガルアムの画、等々。
ディゾルプ。
ストーリー145:メッセージ衛星
登場人物
グラン
メッセージ衛星送出計画の少し前の時節。
メッセージ衛星から繰り返し送信する内容と、内部に残すデータのまとめをしていたグラン。
グラン独り言off「太陽異常が地球にどれだけ影響するか未知数だが、HMで向かえない距離ではない。謎の物体と対峙となったら武器さえ歯が立たないだろうな……。もしもあの金属でシールドでも作れたら……少しはHMで抵抗出来そうだろう……。しかし攻撃出来る力は無い……。謎の物体の画像を添えて、シールドの提供を求めるか?……そうすれば後は攻撃を避けながら、身を呈してでもHMもろとも破壊に転じる。」
グランのメモ書きに伝えたい項目がまとまっていった。
グラン独り言off「ノアーナは武器を持たない星と言っていた。強力な武器の提供は望めない……。謎の物体の位置情報と、出来る限りの詳細画像。太陽の異常とそれに伴って起こる地球環境の危機。そして連邦軍のHMへのシールドの提供を求める事……か。……ラムルの一族が代々地球を気にかけていた…。それに賭けるしかない。」
メッセージ内容を読み上げるグラン。
BGはメッセージ衛星の画で。
グランoff「こちらは地球連邦軍総督グラン=ジョリー。惑星ノアーナへ向けメッセージ衛星を放出した。連絡及び内部データの確認を願っている。地球の存続に関わるかも知れない。一刻の猶予も無い。この周波数に連絡乞う。至急助けてくれ。」
定期的にメッセージ衛星が流す内容だ。
謎の物体の詳細画像、太陽黒点の異常画像、現時点での物体の位置情報、HMの両腕の様々なデータ、提供を希望するシールドの設計図……が内部のデータに保存された。
そして、あの日。レインズ=カート副官らによってメッセージ衛星が放出されたのだった。
ストーリー146:ポイント2到着、その後
登場人物
ガルシア、ポートル、ラムル
マーデクトが停止する画。
メインルームのポートル。
ポートル「こちらマーデクト。ガルシアさん、聞こえますか?」
ガルシアoff「こんにちは、ポートル。待ってたわ。どう?そっちは。」
ポートル「ようやくポイント2に到着しました。感度良好、周囲確認OK。これからラムルに連絡入れたら、また転送します。」
ラムルoff「こんにちは。こちらカーラント。今のところガルシアさんの通信も入ってます。ポートル?ポイント2到着了解よ。こちらも周囲異常無し。」
ガルシアoff「さ、ラムルはあともう少し頑張ってね。ポートル?ラムルのポイント3到着までゆっくり休んで。」
ポートル「了解、ガルシアさん。ここからの天体観測のお土産用意しますね。」
ガルシアoff「それは楽しみにしてるわ。……ラムル、到着は明日だけど、しっかりね。」
ラムルoff「ありがとうガルシアさん。ポートル?明日到着したら連絡するわー。」
ポートル「連絡待ってるね、ラムル。」
変わってカーラントのメインルーム。シートに座っているラムル。
ラムル独り言off「まもなくガルシアさんとは直接連絡出来なくなるわね。なーんかポートルは退屈そうねー……。」
ジャンは周囲の確認に当たっている。カウルはコクピットの側で待機している画。
ラムル独り言off「ポイント3から地球へは通信出来るかなぁ。あの人型メカがいたら直接送信掛けるんだけど……。」
ラムル「カウル、ここへ来て。地球方向へ送信する。準備して。」
カウル「了解、ラムル様。」
ラムル「グランのシェルターの座標位置目掛けて送信。」
カウル「ジャンからアドバイス。シェルターに送信しても相手は受信出来ない……と。」
ラムル「あ、そっか。通信もレーダー探知も出来ないんだった。……ねぇ?ジャン、他に何か名案でも有る?」
ジャン「地球の放送周波数に乗せれば簡単です。ですが地球の放送は連邦国国営、これは避けた方が良さそうです。」
ラムル「ジャン、あなたそんな事、よくサラッと言えるわね……。他に方法は?」
ジャンとカウルは何やら相談中の様子が分かる。
ラムル「ねぇカウル?あなたのメモリーに父上と上陸した記憶は無いの?」
カウル「私は船で待機していたので、上陸地点のデータ、周囲の環境データ以外は残っていません。」
ラムル「ジャン、ここからは地球のデータは取れる?カウルはカーラントの周囲確認を続けてて。」
カウル「了解、ラムル様。」
ジャン「了解、ラムル様。地球の探査、始めます。」
ラムルは退屈しのぎなのか、地球への送信を試みるつもりの様だった。
ラムル「カウル?父上と上陸した地点、私たちが上陸した地点と変わらなかったわ。他の地点の情報は無いの?」
カウル「地球には大きな大陸が3つ。全ての大陸に上陸しました。ですが、ブロント様が、RJは完了したからデータ消去しろとの指示で、最終上陸データしか残ってません。」
ラムル「……。ねぇカウル、参考までに教えて。地球の近くから、バンズが残したウロムナ金属反応って、探査可能?」
カウル「ノアーナで出回っているウロムナ金属は組成が分かるので追跡可能かも知れません。ですが今は遠すぎて無理です。」
ラムル「は、はっきり言うわね……。それはどの位の距離から判別可能なの?」
カウル「……かなり近い距離でなければ不可能かも知れません。その理由としては、地球磁場が強い事、恒星からの風が強い事。それによって遠くからの探査が難しいです。地球大気圏内なら確実ですが……。」
ラムル「分かったわカウル。それじゃあこのまま探査を続けてて。地球の大陸上を探査出来る様になったら教えて。」
カウル「了解、ラムル様。」
ラムルの心の中では、バンズがグランを手助けしたい気持ちが良く分かっていた。バンズなら、あれこれ説明して教えてあげたかったのかも知れない。
ラムル独り言off「地球でウロムナ金属を作れれば苦労しないのよ。それは分かってる。そう出来ないなら教えるか与えるかしかないじゃない……。」
メッセージ衛星の飛ぶ画。
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