ストーリー46~49

ストーリー46:シューロン図書館


登場人物

ラムル、ジャン、シューロン図書館の司書、回想シーンのガルシア、ルイス、ラムル(回想の台詞はルイスのみ)、バンズ、ポートル



 シューロン=ガルの図書館へやってきたラムルとジャン。


 入口を入り、受付の司書に

ラムル「すみません。閲覧したいんですが。」

司書「申し訳ありません。Annは中へ入れませんがよろしいですか?ご本人様だけでの入室になります。」

ラムル「あぁ、そうですか。分かりました。Annはここで待機させれば良いですか?」

司書「ええ、そうしてください。ではこの入室許可証を。」

ラムル「ありがとう。」


 言って許可証を受け取り入口でチェックする画まで。


 ラムル独り言「年代ごとに並んでるのね……。リターナの戦役以前の年代……えっと……。」


 歩きながら年代を思い浮かべるラムル。


 ラムル「有ったわ。この辺りね。随分有るけどどんなカテゴリーなら見つかるのかしら……。」


 ストーリー30の回想にディゾルプ。


 ルイス「ガルシアはそれはそれは本の虫でね。だから知識は相当なもんよ。歴史からメカまで。ねガルシア?」


 回想終わり、ワイプから、ズラリ並んだ本が奥まで見える画。


 ラムル独り言「ガルシアさん、ザクラートについては話してた。でも過去の歴史、知らないかしら……。」


 本棚を見ながら歩くラムル。


 ラムル「どの本に書かれているかも分からない。……金属加工?錬金?成分分析?……何処から手を付けて良いか分からないわね。……ここは一旦引き揚げよ。」


 司書に許可証を手渡す画。


 外からの画で、入口から出て来るラムルとジャン。


 図書館駐機場を飛び立つラムルのフローター。


 フローターのコクピット内、

ラムル「お待たせ。バンズ?聞こえる?これからそっちに向かうから頼むわ。」

バンズoff「ラムル、了解したよ。(通信offから)ラムルのフローターID確認、着陸許可。」


 普段、バンズのドックはこの手順でドック内に着陸出来る。バンズがIDを許可すれば外に駐機せずに済むというわけだ。(前ストーリーまで割愛している)


 バンズ「さぁて、ポートル。お土産のお披露目だよ。」

ポートル「いよいよラムルの鉄槌がくだる〜〜〜。」


 まだビクついているポートルであった。



ストーリー47:2人のお土産


登場人物

ラムル、バンズ、ポートル、ジャン、ピコ、ピク、フライ



 バンズのドック内メインルーム。


 ラムルがジャンと入ってきた。


 バンズ「ラムルお疲れ様。ジャン、久しぶり。」

ジャン「皆さん、久しぶりですね。」


 バンズとポートルはピクのテーブルを囲み座っていた。


 近づくラムルにシートが来る。ジャンはピコの横で待機モード。


 ポートル「ラムル、黙って出掛けてごめん。それで……。」


 ラムルは遮るように、

ラムル「ここに入ったらピクしかいないから、出掛けたのは分かったわ。ったく行き先ぐらい知らせてくれれば……。ま、何事も無く帰ってきたんだし問題無し。今日は遅くなってごめんね、ちょっと図書館に寄りたかったから。」


 バンズ「その用は済んだの?ラムル?」

ラムル「それがさっぱり。古い歴史を知りたくて本を探そうと思ったんだけど、蔵書が多過ぎて目が回りそうだった。で早々に引き揚げてきたわけ。」

バンズ「そうか。その話はラムルに必要な事?」


 ラムル小声、「ザクラートの件よ。今のリターナで発見出来ないようなら昔はどうだったのか、とか、ダイム金属の精製に関してとか。」

バンズ「よし。それはそれ、また後の話題にしよ。……で、今日はラムルにちょっと見てもらいたい情報を手に入れた。少し時間が掛かるけど。」

ラムル「なぁに?もったいぶって。」

バンズ「ちょっと待って。ジャン、ピコとフライに同期して。データ共有してね。」


 Ann達の同期の画を奥に、手前の3人の画。


 バンズ「皆んな共有出来た?フライは画像をモニターに接続して航行データを映して。」


 目の前の制御盤のモニターに画像が映る。水の惑星ほしだ。


 バンズ「ゆっくり順に映して。」

ラムル「前に行った時の画像?……にしては少し鮮明ね。」


 水の惑星ほしの画像が数枚、徐々に大きく見えてくる。


 大気圏突入中、水の惑星の雲。徐々に降下、同じく雲。動画としてではなく数秒毎のタイムラプス画像になっている。


 ラムル「何これ?画像作ったの?」

ポートル「まあまあラムル、そのまま最後まで黙って見てて。」


 大陸が近づく。徐々に緑が木々だと分かり、やがて広めのフィールド。周囲に木々が茂る。更に降下。そして着陸。


 今度は360°パノラマ画像。山が見えたりしている。遠くの方に一軒白い別荘も見えるがカメラはそのまま通り過ぎて元位置の画像でストップ。


 薄暗くなってきた周囲。


 マーデクトのハッチからバンズとポートルが降りていく。

(ここからピコの見た目映像に変わる。ピコは浮遊して同行している為、時々フワフワする画)。


 暗くなってきた林の中を歩く2人。画像は暗視状態に変わった歩く2人。昆虫が飛び交う画。


 次に映った画像は、ポートルの腕のモニター画像、別荘付近のサーモグラフィー画像だ。その拡大した画像。


 バンズの腕のモニター、同様の画像。


 ピコの見た目、バンズがピコに向かって何か言っている画。


 腕のモニターのサーモグラフィー画像。


 2人共のモニター画像が乱れた状態の様子。


 そしてマーデクトのカメラ画像に戻り、夜明け間近の木々。

周囲の木々の画。ゆっくり上昇、遠景まで見られる。


 航行している画で辺りは別の場所。山々や川を過ぎていく数枚。遠くに都市らしき画。徐々に都市部に近づいている。

 都市部上空、停止して360°パノラマ。ゆっくりzoomしている様子。小さく見えている朝の市場(朝市)の様子。道(道路)を行き交う車や人々(zoom停止)。


 再び航行再開、進行方向にはフィールド。牛が数頭見える。馬が人を乗せて走っている。今度は上昇の画。ゆっくり上昇数枚。どんよりしたグレーの雲間。雲間の雨の画。ゆっくり上昇数枚。


 大気圏離脱中。眩いばかりの青い水の惑星ほし。遠くの小さく見える太陽と下には水の惑星ほし。ゆっくり離れていく水の惑星数枚。


 ここで画像が終わった。

 

 ラムルは目を輝かせ微笑んでいた。


 バンズ「ラムルに……。お土産をと思って……。」

ポートルはシートで膝を抱えて見ていたようだ。

ラムル「バンズ!ポートル!あんた達私を出し抜いてひどいっ!」


 うつむくラムル、直ぐ2人を見て、

ラムル「でも素敵なお土産、ありがとう2人共。」


 ポートル、安心してシートで放心。


 バンズ「それがまだ終わってないんだ。続きの話がある。……画像の途中、サーモの画像があったでしょ?あの部分の話。」


 バンズは少し神妙な面持ちで話し始めた。ディゾルプ。



ストーリー48:右目の疑問


登場人物

グラン、タロン=ダグラス



 場所は連邦軍開発局。幼馴染タロン=ダグラスが勤務する軍の機関。


 グランはシェルターの手配をタロンに依頼、設置にこぎつけたのだった。


 休憩室、2人が座っている画。


 グラン「急がせてすまなかったね、タロン。お陰で休養先が確保出来た。」

タロン「出入り口から内部構造までレーダー探知出来ない仕様にしてある。今後ゆっくり休暇を取れるよ。」

グラン「感謝してるよタロン。それから、1つ聞きたいんだが……。」

タロン「シェルターに入るにはIDカードとお前の虹彩こうさい認証が必要、反逆軍に偽造は不可能。心配するな。」

グラン「いや、違うんだ。この眼の事でね。」


 過去にグランが負傷した時に見舞いに来たタロンだった。

幼馴染の酷い姿を見ていられず、即義眼を作りグランに提供した。


 神経に伝達して視界を確保出来る優れた義眼だ。


 タロン「何か不具合でも有ったか?それともカスタマイズする気か?俺はそのままのお前がいい。カスタマイズしたら眼というビジュアルでは無くなるからな。」

グラン「それは前に聞いたよ。そうじゃないんだ。……先日の反逆軍の不意打ち。真夜中だったんだ。」

タロン「先日の戦闘の事は聞いてないが、要人暗殺計画が反逆軍に持ち上がってるのは知ってる。白羽の矢が立つのは当然だろう。……真夜中に襲われたのか⁉︎よく無事だったな。さすがグランだ。」

グラン「話というのはその時の事なんだ。お前のプレゼント、暗視できる。」

タロン「真夜中に暗視ゴーグルも着けずにか?まさか……。俺は何も仕込んじゃいない。視界を復活させたかっただけで、義眼はただ精密に作っただけなんだよ。」

グラン「それがそのまさかなんだ。」


 グランは立ち上がって休憩室の照明スイッチの前に歩いてきた。


 グラン「暗くするから何か手に持って示してくれないか。」


 言って照明を消した。


 タロン、側のゴミ箱から缶を1つ持つ。


 タロン「よしグラン。これは何か?」

グラン「ゴミ箱から拾った。ブラックコーヒーの缶。」


 タロン、胸ポケットから幾つか取り出して示す。


 タロン「じゃあこれは?」

グラン「局のIDカード、ボールペン……。なんだお前。相変わらず外食ばかりか、そのレシート。」


 再び照明を点けるグラン。


 タロン「暗い中で見えていたのか……。レシートまで分かるなんて。……まったく驚きだな。」

グラン「ここだけの話にして欲しいんだが、俺には変わった能力が生まれつきあると母の最後の言葉だった。多分その力が義眼に作用して暗視が出来ている。詳しくは自分でも分からない。」

タロン「宇宙空間にいても明るく見えていたのかも知れないね。」

グラン「ああ。H=Mを操縦するのが楽になっていたよ。」

タロン「良かったじゃないか。俺も作った甲斐があったってもんだ。……変わった能力ね、お母さんの形見みたいなもんだ。大切にしなきゃな。」

グラン「ああ。今後ずっと有効活用していくよ。この事は俺達だけの話、口外しないでくれよな。」


 右目を指差しながらグランは言った。


 タロン「分かった。約束するよ。」

 応じるタロン、立ち上がる。


 2人、休憩室を出て廊下を歩いている。


 グラン「しかしシェルターの入口ドア、もっと軽くならんかったのか。重くてしょうがない。」

タロン「重くて当然さぁ。あれは鉛の扉、鉛の外装。設置するだけで大変だったんだぞ。……それもこれも、総督様の身の安全を確保するが故の事だろう。軍の出資として扱ってもらったんだ、文句は言うな。」

グラン「ああ悪かった。感謝してるよタロン、ありがとう。」

タロン「シェルターと外部の連絡は出来るようにしてあるから、孤立することもない。緊急連絡にも応答出来る。」

グラン「何か相談が出来たら又来る。」


 エレベーターで2人は分かれた。ディゾルプ。



ストーリー49;双方のお土産


登場人物

バンズ、、ポートル、ラムル、ジャン、ピコ、フライ、ピク、回想のグラン(台詞無し)



 画面はバンズの腕のモニター、サーモグラフィーの画。


 ラムルへの話の続きになる。


 バンズoff「上空からの画像解析で建物を見つけたから、暗くなってから林を歩いて行ったんだ。近くまで行った所で気が付いた。建物周囲に生体反応。」


 画面はバンズの後ろからの画、向かいのピコに

バンズ「ピコ、あの時のアタイのモニター画像、投影して。」


 ピコからホログラム状に投影されたサーモグラフィーの画。


 バンズoff「しばらく流れを見てて。所々説明入れる。」


 3人が投影画像を見入る画。


 バンズoff「この周囲の生体反応、建物の周りを監視している様に見えない?この後3つにまとまるんだ。……あ、ここで止めて。」

ラムルoff「そうね、言われてみると、何か探してる様にも見える。」

バンズoff「ピコ、続けて。……その3つに分かれたグループみたいのが、今度は林に動き始めた。」


 バンズの現在地、建物、3つのグループ、そしてもう一つの反応(グラン)。


 バンズoff「もう1つ、生体反応があった。そこに1つのグループが近付いたら、急に銃声が聞こえて、その1つのグループの反応が消えた。今度はもう2つのグループが消えた地点に動いていた。また銃声。近づいたグループが消え残りのグループと単独の1人。アタイ達は移動してたけど、挟まれた場所に移動してたようだった。」


 画面はストーリー37の回想画で、


 ポートルoff「その時私、誰かの声を聞いたわ。」

バンズoff「うん。誰に話しかけてるのかと思った。何かこっちに向かって叫んでから、アタイ達突き飛ばされた。慌てて言語解析したんだ。」



 画面が3人の画に戻り、


 バンズ「私達が見えていたんだ。よくよく考えてみて、突き飛ばしたのは流れ弾に当たらない様に、だった。怪我の事を心配していた。その人の建物に促されたよ。アタイ達を助けてくれたようだったから、ポートルとついて行った。」


 更に回想ストーリー38の一部画面で、


 バンズoff「片目に義眼を持つ人、軍の上官だって言ってた。」

ポートルoff「その人、グラン=ジョリーって名乗ったわ。悪い人ではなさそうだし白状する事にしたのよ。画像を持ち帰る調査の為に来た事やスーツのステルスも見せた。彼の義眼の眼だけがステルスを見抜いていたの。待機中のマーデクトのステルスも見せた。ステルスは水の惑星ではまだまだ開発途上だと言って驚いてたわ。」

バンズoff「少し話して明るくなり始めて来たので、アタイ達は帰ると伝えて出て来た。最後に彼がまた来るなら俺の所に来てくれって言ったみたいだった。」


 画面は元に戻り、


 ラムル「ノアーナの事まで話したの?」

ポートル「そこまで詳しく話してないけど、別の星から来たとは伝えたわ。軍の人のようだから当然かもだけど、武器も色々飾ってあった。でも外で出くわした時は、私達には銃は向けなかったわ。」

ラムル「悪い人ではなさそうだけど、今頃は口外されてないのかなぁ……。」

バンズ「軍の上官だし、誰からも指図されない立場だと聞いた。アタイは信じてもいいかなと思ったよ。」

ラムル「サーモの画像以外なら、水の惑星ほしの現在の状況報告として父に見せられそう。」

バンズ「なんなら着陸地点の座標データも残してあるし、大気分析やらもある。」

ラムル「出し抜いた分を差し引いても、感謝が勝るわ。危ない思いをしながらの調査、2人共ありがとう。」

ポートル「お父さんにどう話す?」

ラムル「うーん……。それが問題よね。父には水の惑星が平和に発展している事を望んでて、この画像で伝わるかなぁ……。」


 ポートル「でラムル、今日の図書館の話、そっちはどうなの?」

ラムル「図書館ね。ザクラートに関して。何か知りたくて。」

バンズ「全くラムルは好奇心強いからなあ。」

ラムル「それは言わないでってー。ちょーっと待って。……ジャン、ここに来て、預けてある物出して。」


 ジャンはラムルの横に来てトレーを出す。


 ラムル、小さな板を手に取り、

ラムル「これ、何だと思う?」

バンズ「見たところ金属の板クズ。」

ポートル「何かの金属の蓋とか?タイルみたいだし……。」


 ラムル、まず外観を見てもらい、バンズに手渡す。

バンズ「金属だ。何かの蓋みたいだけどボルトの穴が無いや。」


 ポートルに手渡された。

ポートル「ほら、なにかの蓋……んー?軽くない?」


 バンズに手渡すポートル。

バンズ「どれ?……言われてみれば、軽いね。……まさかダイム⁉︎ダイムの合金?」

ラムル「ジャンには解析出来なかったところを見ると、ダイム金属なんだと思うわ。」

バンズ「どこでこれを?」


 バンズ、ジャンのトレーに板を戻す画。


 ラムル「2人が水の惑星ほしに出掛けてる時、私はエンジャーの母の幼馴染の所に行ってきてね。その友人は以前に父の宇宙船ふねのパーツを引き取ったと聞いてそれで向かったの。で、唯一それらしきがこの板ってわけ。その方から貰ってきたのよ。」

ポートル「で、ダイム金属らしきが手に入って成分の分析を終わらせたから、次はザクラートに関してはどうか?って事ね。」

ラムル「その通り。でも図書館で古い本の何を当たればザクラートを調べられるか手に負えなくて引き揚げてきたの。」

バンズ「ザクラートかぁ……。難しい調べ物が出来ちゃったなぁ。確かに何から辿れば資料に行き着くか……。」

ポートル「ビブレスではどうなの?バンズ?情報源無いの?」

バンズ「無茶言うな。ザクラートのザも尋ねられん。目を付けられたら大変だよ。」

ラムル「そんなに危ない代物?」

バンズ「危なくはないけど、ダイム金属が軍の機密らしいのではザクラートも同じだろ?だからそう軽々と口には出来ないよ。」

ラムル「そっかぁ……。」


 しばらく3人はカップを手に飲み物タイム……。


 ラムル独り言のように、

ラムル「やっぱり訪ねてみようか……。」

バンズ「何だって?」

ラムル「うん。先日会った母の友人、若い頃に随分と本を読み漁っていたようだから。母からは本の虫だってからかわれてた。蔵書もそれなりみたいで知識もありそうな方。」

ポートル「訪ねてみる?」

ラムル「また学術部休まなきゃ……気が重いけど。」

バンズ「じゃ、エンジャーを訪ねてから、また後でじっくりと作戦会議としよー!」


 画面fade-out。

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