おっぱいを押し付けながら甘い囁きをしてくる幼馴染みが妊娠を望むヤンデレになっていた件

しゆの

幼馴染みがおっぱいを押し付けながら告白してきた

「この子のおっぱい凄いな」


 鈴木大輔すずきだいすけはリビングの大きめなソファーに座りながらスマホに保存されている漫画を読みながらそう呟いた。


 大手通販サイトではスマホやタブレットに保存できる電子書籍を販売しており、コンビニなどでギフト券を買えば漫画などを購入することが出来る。


 高校二年生である大輔の趣味は漫画を読むことで、毎月貰っているお小遣いのいくらかを電子書籍に充てているのだ。


 電子書籍はスマホに保存出来るため、スペースを取らなくて便利だし、紙の本と違ってどこに置いたか分からなくなっていちいち探す必要はない。


 それに電子書籍はネットで購入してダウンロードすればすぐに読むことが出来て便利だ。


 今読んでいるのはラブコメ漫画で、サービスシーンとしてヒロインの下着姿やお風呂シーンなどが多く使われている。


 少年誌に連載しているからもちろん本番シーンなどはないが、ヒロインが可愛くてかなり人気のある漫画だと言っても過言ではない。


「大ちゃんは休日の昼間からいかがわしい漫画でも読んでいるのですか?」


 昼ご飯に使われた食器などの後片付けを終えた同じ歳の幼馴染みである星野都ほしのみやこが白い目をこちらに向け、全くもう……とため息混じりの声で呟いた。


 両親が子供を出来たのを気に家族向けのマンションに引っ越して来た都と家が隣同士になり、それから家族ぐるみで付き合いをしている。


 幼馴染みの関係だからなのか、都は大輔のことを大ちゃんと愛称で呼ぶ。


「そりゃあ読む」


 少しだけ都の方に視線を向けた大輔は、再び先日発売されたばかりのラブコメ漫画を読み出す。


 幼馴染みである都以外とはまともな付き合いがない大輔の休日は漫画やラノベを読むかアニメを見るかで、世間一般的に陰キャと呼ばれる部類に入る。


 両親が海外を拠点に仕事をしていて家を空けていて都が毎日のようにご飯を作りに来てくれるからボッチではないが、幼い頃から大輔は人付き合いが苦手だ。


 だから友達と呼べる友達はいないし、ほぼ産まれた時から一緒にいる都としかまともに会話しない。


「ずっと思ってたけど、都ってラブコメに出てくるヒロインそのものだよな。学校一の美少女とか言われているし」


 漫画を読みながら、ヘアゴムでポニーテール調に纏めていた髪を解いて隣に座った都に話しかける。


 学校一の美少女と言われている都は美しくて可憐な少女で、幼馴染みじゃなかったら同じ学校でも大輔は話す機会すらなかっただろう。


 腰より下まで伸びている毛先がゆるふわな亜麻色の髪、長いまつ毛に藍色の大きな瞳、メラニン色素が薄いと思われる汚れのない白い肌は学校一の美少女と言われても不思議ではない。


「そんなこと言われても嬉しくないですけとね」


 本当に嬉しくないです、と思っていそうなほど深いため息だった。


 美少女というのは大変らしく、下心で近寄ってくる男子に迷惑しているようだ。


 思春期になれば男子は可愛い女の子とイチャイチャしたい、と思うのは普通のことで、美少女である都に近寄ってくる男性が大勢いた。


 そのせいで都は男子に対して冷たい態度を取り、信頼している男子は幼馴染みである大輔だけだろう。


 家でも基本的にクールではあるが、学校での都はさらにクールだ。


 以前本当に迷惑です、と冷たく重い声で言い放っていたので、間違いなく男子に近寄ってほしくないと思っている。


「それより夜はお母さんたちもいるので、先に言いたいこと言っちゃいますね」

「言いたいこと?」


 何の事だかサッパリ分からず、大輔は漫画をソファーに置いて首を傾げた。


「はい。お誕生日おめでとうございます」


 身体をこちらに近づけていた都は、耳元で男心をくすぐるような甘い声で囁いてきた。


 本日、五月五日――つまり子供の日は大輔の誕生日だ。


「今日は俺の誕生日だったのか。すっかり忘れていた」

「こんなにも分かりやすい誕生日なのに忘れるなんて……本当に昔から現実に興味ないですね」


 都がため息混じりの呆れた声を出したことにより、大輔は耳が若干くすぐったくなるが、態度に出すことはしない。


 幼い頃から人付き合いが苦手な大輔は自分自身を含めて現実の人間に興味ななく、自分の誕生日を忘れてしまうほどである。


 興味のほぼ全てがアニメやラノベ、漫画に向かっており、そのおかげでえっちいことが苦手な都も安心して側にいることが出来るのだろう。


 二次元の女の子に対しては興味津々でおっぱいなどのえっちい発言をするが、自分自身に向けられることではないために都は大輔のえっちい発言はどうでもいいらしい。


「誕生日プレゼントくれるのか? 欲しいアニメのブルーレイボックスがあるんだけど」


 大抵のアニメはレコーダーに録画するか配信アプリを使って見るが、未公開映像や特典小説などがつくブルーレイボックスも欲しいと思っている。


 だけど高校生に何万とするブルーレイボックスは中々手が出せないため、お年玉などので大金が入ってこないと買うことが出来ない。


「いや、流石にブルーレイボックスは高すぎますよ」


 大輔の趣味を分かっている都は、一応プレゼントとしてブルーレイボックスを考えたようだ。


 流石に値段を見て諦めたらしく、他にプレゼントがあるのだろう。


 今思い出したが、去年もプレゼントを貰った記憶がある。


「今年の誕生日プレゼントは……私です」

「…………は?」


 数秒置いてようやく反応出来た大輔は、訳が分からずに都の方を向いて目を見開く。


 えっちいことが嫌いな都がエロ漫画に出てくるような台詞を言ったのだし、驚かない方が不自然だ。


「確かに私はえっちいことが苦手ですけど、好きな人相手なら……別ですよ」


 大輔の来ているティーシャツの袖を掴みながら、またも都は耳元で甘い声で囁いてきた。


「好き? 俺が?」

「はい……」


 髪の隙間から見える耳元まで真っ赤にした都は、大輔の質問にこくん、と首を縦に降る。


「何で好きなの? て思っていそうな顔ですね」


 確かに今の大輔は何で好意を持たれているのか分からずにいた。


 毎日料理を作ってくれるのは両親がいなくて自炊が出来ない大輔の栄養を考えて幼馴染みの関係だから仕方なく、と思っていたのだが、どうやら好きだからという理由が一番なようだ。


 両親が海外に行く前……つまりは中学の時もたまに作ってくれたが、去年の春に両親が家を空けるようになってから胃袋を鷲掴みにしよう、と思っていたのだろう。


 でも、一向に大輔が好意を示してくれないため、食欲じゃなくて性欲で誘惑しようと考えたのかもしれない。


 一般的に男を堕とすには性欲に訴えかけるのが一番なのだから。


「大ちゃんは二次元にしか興味がないので、思春期になっても安心して側にいることが出来ました」


 幼馴染みの関係であったとしても、思春期になれば男女は疎遠になったりしたりするらしい。


「でも、一緒にいる内に、好きになって、しまいました」


 再び甘い声が耳元で聞こえる。


 幼い頃は家族のように見ていたが、思春期になってから好きになったようだ。


 えっちい視線を向けない主人公をヒロインが好きになるのは、ラブコメアニメなどで良くある話で、都も同じようなものだろう。


「料理で駄目なら、こうするしか、ないですよね」


 未だに茹でダコのように頬を赤くしている都は、女性の武器である胸を大輔の腕に押し付けてきた。


 華奢な体躯の割に大きくて柔らかい胸がムニュ、と大輔の腕を包み込む。


「アニメや漫画の女の子じゃなくて、私で喜んで欲しい、です」


 元からこうするつもりだったからなのか都が着ているワンピースの生地は薄く、ほぼダイレクトに柔らかい感触が伝わってくる。


 思春期になってからの触れ合いは手がたまにあった程度で、こんな風に都が胸を押し付けてくることはなかった。


「私がここまで恥ずかしい思いをして頑張っているのに、大ちゃんは何の反応もしないのですね」

「二次元にしか興味ないから」


 毎日のように料理を作ってくれる幼馴染みである都に感謝はしているものの、大輔は彼女でえっちいことをしたいと考えていない。


 もし、考えているのであれば、とうの昔に都は大輔に初めてを奪われていただろう。


 少し残念そうな声なのは、えっちい視線を向けることがない大輔に安心していれど、いざ好きになってしまうと少しはそういった視線を向けてほしいようだ。


「痴女になったのか?」

「ち、違います。こんなことするのは……大ちゃんにだけ、ですから」


 つまり都は男を知らない純潔であり、初めてを好きな人である大輔に捧げたいと思っているのだろう。


「そうか。今の俺は都と付き合えないぞ」


 二次元にしか興味がないため、彼女が欲しいと考えたことすらない。


「今告白したところで付き合えないのは分かってます。でも、いつかは……」


 誘惑を続ければ付き合える可能性がある、と思っているようで、どんなに恥ずかしくても胸を押し付けると都は覚悟を決めたのだろう。


「もし、私で硬くしちゃったら……私が責任をもって、スッキリさせてあげます」


 あまりにも恥ずかしくてか瞼を閉じた都からの爆弾発言だった。

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