第11話 ファイト一発

彼は階段を駆け上がりながら考えていた。

彼女が命の危険を感じている所を助けないと「ありがとう(ポッ)」イベントが来ないのではないか、と。

地上で助けるのは無理だと思い知った。

だが、屋上から落ちる瞬間に彼女を掴んで止めるのは可能性あるんじゃないか?

彼女の落下速度が上がる前に止める!

第して「ふぁいとぉぉぉ!いっぱあぁぁぁつ!作戦」である。


イケる、コレはイケるぞ!


程なくして彼は屋上に辿り着く。

タイミングはいつも通り、男子生徒が彼女に詰め寄っている所だ。

彼はスッと彼女の斜め後ろ、フェンス際へと移動する。


そこで男子生徒が動いた。

「オマエ、普通さ、このタイミングで彼女の後ろに来るか?空気読めよ!」

「え、あ、いや、あ、うん、ごめん?」

「じゃ、私、帰るから。ごめんね?」

「「あ、うん」」


彼女は助かった。

うん、助かったんだけどね…

あれ?

「ありがとう!(ポッ)」は?

え?

どうしよう?

もう一回やり直す??



■告白してるすぐ横に近付くとかナイわー

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