スローライファー 1-3

「新種創造!」「新種創造!」「新種創造!」三回連続使用でしゃがみ込み、ぐっと立ち上がる。


キスだけ宝草:ハイエルフ限定でキスだけで子宝を授かる。 生育条件 より魔力の濃い森の中 効果範囲 自生状態のみ3m


必中草:命中率が必中となる。 注意 確立大 生育条件 より魔力の濃い森の中 効果範囲 自生状態のみ3m


増々惚れ草:相互の好意があれば好意7乗になるが、短時間。 生育条件 より魔力の濃い森の中 効果範囲 自生状態のみ3m


 独り用テントサイズ土カマクラを造り次第、近くにいた二人づづで放り込み、強い虚しさを感じながら、計三棟造りあげる。通信制高校、通信制大学卒、夢の学園ライフ、キャンパスライフ経験値ゼロ、孤独を友として生きてきた自分のスルコドジャナイ・・・。精神力ゼロポイントに近づく中、仕上げで空気穴をいくつか開け、カマクラ外上部に渾身の三種の種を播種し発芽させ、自称「勝手にハイエルフ絶滅防止ボランティア」一時間で引退・・・。


 許せ・・・。スローライファー称号持ちハイエルフの転生者が初めてのお使い(遠征)にでるのに100年かぁ・・・、スローライフは自分には無理だわ。子宝に恵まれ長い長い子育てスローライフを想像し、震える。絶滅しちゃ駄目なんだ駄目なんだだと自らをを正当化し立ち去ることにする。


ツノガエルがいた池に向かって歩いていると、強い殺意を身にまといスタッと自分の背中側に降りてくる二人のハイエルフ。


 「何をした!人間!」

 「説明次第では、ただでは済まさぬ!」


 「婆さんやこいつ弱すぎだ・・・」

 「あんた、ゆっくり話聞いてみてで、よかろうよ、弱っちいしねぇ。」


 精神力が削りきられた状態なので抵抗する気もなく、どう見ても人間の30歳前後にしか見えない相手に向き合い


 「自分は昨日、自分の意志とは関係なく異世界から転移してきたのか周辺の地図もこの世界の状況もわからない。」


 「先ほど6名に囲まれ縛って連行すると言われたので抵抗し眠ってもらっているだけ、これ以上の危害加える気はない」


 「自分は【やや鑑定】というスキルで、あなた方ハイエルフは絶滅危惧二類、絶滅に瀕しかかっている種族だと認識し、たまたま所有していた三種の種をお節介で使用したところ」等々・・・。


 「あっ、種渡しますね。」


 「そもそも相互に好意がなきゃ多分子供できないんですわ!」くどくど・・・。


こんな説明で納得してくれるか不安を感じながら相手の顔色を窺うと


 「人間、少し場所を変えて話そう。」 ツノガエルのいた池のほとりまで3人で自己紹介をしながら歩いていく。


「私はシャムロック、そして妻エリカだ、このハイエルフに遺された最後の子供達の見守り役だ」


「僕の名はミツグ、この世界ハイエルフとツノガエルしか知らない」と伝えると


「まあ座ろう」 「ミツグ殿。我々、ハイエルフ存亡の危機の救世主になるかもしれない・・・。何を望む?」


「自分はとにもかくも、この世界の情報が欲しいですよ。近くの街から国の情報、どんな種族がいて、敵対関係とか」必死である。


「ねぇ、シャムロック、私たち二人で奇跡の草の効能試してみようよ」見つめ合う、ハイエルフ二人。海外ドラマのワンシーンのような美しい風景に唖然とする。精神力ホボゼロ。


結果二人が戻ってくるまで、ぼんやりとしていただけでなく、精神力の回復に努める

 

「多分三つ子よ三つ子よ!400年子供ができなかった私たちに子供よ!」お腹に手を当て、身体中から喜びがあふれだしているのがわかる。二人から湧きあがり続けている喜びが火山の噴石を浴びるかのように心に痛い。


エリカさんもうこっちに意識が向いていないの明らかなので必死に「自分は、この世界の情報が欲しいですよ。近くの街から国の情報、どんな種族がいて、敵対関係とか」同じことを繰り返し、なんとかいろいろ教えてもらう。エリカさんそわそわと帰りたい気配全開である。


「では、ミツグ!いつでも、これより北のアンゼウ山脈の麓の我らの村へお越しください。このお渡しする首飾りがあれば我々の結界通れますので!エリカ帰ろう」

「ねぇシャムロック名前はどうする?」


この二人気づけば名前で呼び合ってるし・・・。


「転生者の優雅さんには後日よろしくお伝えください。僕もこれといった野心なく、こちらの世界で生きていけたらと思っていますと」

「最後に興味本位で聞いていいですか?」

「8分の1くらいの混血になれば鑑定でハイエルフとしかでないのか?鑑定による種族判定と、主観による種族判断は一致しているんですか?」


シャムロック、「人間風情が何を言うか!と怒るハイエルフがほとんどだな。まあ、ミツグ殿の提案なので皆で話し合うことを約束する。」苦笑いしてきちんと答えてくれる。エリカさんはお腹を抱えて笑っている。おそらくこれがマタニティハイ、何でも面白いんだ・・・。


「8分の1でも16分の1でも魔族の血が混じっていたら魔族であれば、魔族だけ増え続けますしね。ある程度容認できる混血の幅を探っていかないと・・・。」「生物学的な線引きしてくれる【鑑定】すごいですね。」等と話す。ハイエルフの若者6人放置で一瞬で消え去る二人を茫然と見送る・・・。おにぎりの樹は増やしていいのか判断に迷っているのでおにぎりの樹を普通の樹に戻す。条件も再考しないと・・・。


 さあどうするか?弱っちいとまで言われた以上しばらく東に向かいレベル上げ方針。今いる場所はこの大陸の東南の端の辺りで魔物しかいない森林地帯。東にもう二日ほど歩くと海に出るとのこと、更にその辺りは強い魔物はいないがエルフは理由は無いがなんとなく近づかないとのこと。ここから3日ほど南西に行けば人間が辺境都市と呼ぶ街があるとのこと。そっち方面は強い魔物がいるとのこと。


 【勇者4分の1】ユニークスキルは恐らく相当弱い。いろいろ出来そうだが戦闘職より弱い。魔法職より弱い。回復職より弱い。自分40レベルで10レベルの専門職と同等と考えて生きていかないと駄目そう。【森林】ユニークスキルがあれば森林内であれば魔力総量多く使える優位性を生かして森の中での立ち回りの工夫大事。森の外との違いの確認も大事。不完全な扉式勇者召喚が原因で【やや鑑定】【やや収納】【勇者4分の1】【森林】【異世界言語】【ーーー】状態なのでもう一つ何かできそうだ。


 いろいろ考えて歩いていると狼3匹に襲撃を受け咄嗟に出した【森林】による蔦で拘束し[モンスタースプラッター毒ボール]を初めて使用。思い知らされたよ・・・。夢なんかじゃない異世界という現実なんだと・・・酷い腐敗臭で自分自身の耳以外の穴全てから色々な液体をのたうちながら出してね・・・。【やや収納】時間停止機能当然なかったよ・・・。狼さん即死でした。そっと安直な思い付きで作った[モンスタースプラッター毒ボール]をのたうちながらポイ捨て、酷い匂いの狼さん遺体回収を諦め離脱。止まらない涙と鼻水を流して修業できる場所と塩を求めて海にフラフラと向かう・・・・。

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