<奇病物語>

銀じゃけ

Side メリス

第1話 花咲病


ああ、また花が咲く…



今回はどんな花が咲くんだろう。



なんとなく、咲く周期が短くなっている気がする。

この前咲いたばかりなのに。




 「メリス、また花咲いたの?今日は青色だ~綺麗。」


 「リアンいつの間に?そうなの、今回は青だし珍しいからお店に飾ってもらおうと思って。」


 「いいんじゃない?店長も喜ぶと思うよ!」



私は花咲病という奇病を患っている。

花咲病はその名の通り全身に花が咲く病気で、死ぬことはないとドクターには言われているけど、体に花が咲くと死ぬんじゃないかって心配になる。

あ、ドクターっていうのはこの町の唯一のお医者さんで、私たち奇病持ちの専門医。奇病のことをなんでも知っているし、すごい人らしい。



 「ねえメリス、どこか遊びに行かない?」


 「どこいくの?私もう少ししたら仕事なんだ。ごめんね。」


 「そっか~、仕事ならしょうがないね、また今度遊び行こ!」


 「分かった。また今度ね。」



リアンはいつも元気で私とは真逆。

でも、元気な彼女も奇病を患っているんだ。

そんなリアンとは幼馴染で一緒に住んでるし姉妹みたいな存在。



私は、花屋で仕事をしていて、リアンはパン屋。

なんで花屋なのかというと、体に咲いた花が何なのかわかるように、だって。花のことを知ってても何も変わらないと思うけど…。

そういっても、仕事先を決めるのは国の人たちだから、よっぽどのことがないと仕事は変えられない。



さっき咲いた花は最近よく咲くようになった気がする。なんて花なんだろう。




私とリアンがいるこの町は奇病を患っている人たちが住んでる町で、ゼフラ町っていうの。奇病持ちの私たちは何かあった時の為に一緒の家に住んでる。

私たちは病気が発症したときに政府の人に連れてこられたんだけど、その時私は小さすぎてどこで生まれたのか、まして誰なのかも覚えてない。リアンはそうじゃないみたいだけどね。


二人で一緒に住み始めたのは5年前ぐらいなんだけど、小さいころから仲が良かったから安心する。

それまでは育ててくれた人の所に住んでいたんだけど、今はもう別の家に住んでていないから、自分達で生活していかないと。




 「店長、この花さっき咲いたんだけど、青くて珍しいからまたお店に飾ってほしい。」

 

 「いいけど…メリス、咲く周期短くなってない?大丈夫?」


 「周期は確かに短くなってるけど、これで死ぬことはないってドクターが言っていたから、大丈夫だと思う。」


 「そう?メリスがそう言うのならいいのだけど…。何かあったらすぐに言うんだよ。」


 「ありがとう。」



店長はすごく優しい人だけど、宝石病っていう体がどんど宝石になっていく奇病持ち。だから、体の一部が宝石になっているからうまく動かせないのよね。私とリアンを育ててくれた人なんだけど、だんだん病気が進行していくのが目に見えて分かるからつらい…。最終的には…なんてまだ考えたくない。

でも店長は珍しい花が咲いたときはいつも飾ってくれてほめてくれるし、前にその花を買ってくれた人がいたときは嬉しかった。

前にこの町の人じゃないおじ様が買いに来て、すごい話題になったっけ。

すごく花をほめてくれたし、いい人だったな、元気にしてるかな?



カラン



 「いらっしゃいませ。」


 「あの、すみません。花屋ってここで合ってますか?」


 「はい花屋で合ってます。」



この町の花屋はここしかないのに知らないってことは、この人はこの町の人じゃないのかな?

どうやってここにたどり着いたんだろう?確かここは地図にも載っていって教えてもらったし…。

たまに旅をしている人がたまたまたどり着くことはあっても意図的に来る人はいないって。



 「あの、失礼ですが、あなたはここの町の人ではないですよね?」



‐つづく‐





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【あとがき】


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最後までよろしくお願いします(*‘∀‘)ノ

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