キャッチーな設定とは裏腹に、死者への後悔を綴る静謐さが印象的

家族でもペットでも、かけがえのないものを亡くした時、人は必ず後悔します。四十九日が終わるまでは毎日忙しなくて忘れていますが、半年後か二年後、あるいは十年後、人は必ず「もっとこうしてあげればよかった」「あんなこと言わなければよかった」と後悔するものだと思います。

「幸せを切り売りする」という発想の面白さから読み始めた作品でしたが、その力は誰もが羨むような理想的な幸せをもたらしませんでした。
不幸せは近しい人を巻き込んで連鎖していく。それでも「親父」は人の幸せを願い、不幸のるつぼに落ちていく。この辺りの複雑さは非常にリアリティがあり、繊細に描かれていて面白かったです。

本編のオチも好きでしたが、主人公が変わって続編エピソードの連載が始まりました。主人公の思いがどのように変わっていくのか、最後まで見届けたいと思います。


※以下シリーズ完結のため追記


めっちゃ普通におもしろくてヤバいしなんなら何度か「親父」のオンナになるわこんなん。章ごとの主人公と登場キャラクターのチョイスが面白いですが、最終的には箱推しです。ありがとうございました。

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