第8話 彼女が何かを読んでいる

今日は7月13日。

休日で部活もない俺は公園に来ていた。

俺は公園のブランコに座っている彼女を見つけてそこに行く。

彼女は何かを呟いている。


「何してんの?」


「俳句を読んでたの」


「俳句ってあれだろ? 57577の奴 」


「それは短歌ね。 俳句は575だよ」


あ、違った…

桜めっちゃ詳しくない!?


「難しい。 なんの俳句?」


鞦韆しゅうせんは 漕ぐべし愛は 奪ふべし」


「何それ?」


「恋の歌。 悠希君も覚えたら?」


俺は桜にそう言われる。

よし、覚える。

桜に好いてもらいたいからね。


「覚える。 その歌に意味ってあるの?」


「ブランコは高く高く漕げ、愛は待ってないで激しく奪いにいけだよ。」


この歌の意味を知った時に感じた。

「桜を奪わなきゃダメだ」と。

でも叶わないのはわかっている。

関係だって壊れるのはわかっている。

どうしようもないかな。


「それも覚えとくわ」


俺がそう言うと、桜はブランコから降りた。


「言いたかったのはそれだけ。 じゃあね」


そう言うと彼女は去っていく。

その後ろ姿は可愛くて俺は更に惹かれる。



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