死亡エンドしかない悪役令嬢に転生したので、どのルートを選ぶのかヒロインに聞こうと思います

真理亜

第1話

「ねぇ、どのルートなの?」


 学園の昼休み、いつも通り手作り弁当を中庭のベンチに広げていた私に、そんなことを聞いて来た人が居る。この人は確か...


「え、え~と...何の事でしょうか...」


「だからあ、王子ルートか宰相子息ルートか騎士団長子息ルートか魔道騎士団長ルートか義弟ルートか、どれを選んだのって聞いてんの!」


 この人は何を言ってるんだろう...


「る、ルート!? えっ!? えっ!?」


「あら? 反応が鈍いわね? さてはあなた、転生者じゃないのね? てっきりそうだと思ったのに残念だわ...」


「て、テンセイシャ!? えっ!? えっ!?」


 さっきから訳の分からない言葉ばっかり...


「まぁいいわ。転生者じゃないなら、取り敢えずイベントが起きたかどうかだけ確認させて頂戴?」


「い、イベント!? さっきから聞いた事の無い言葉ばっかりですが、何か確認したいならどうぞ?」


「ありがとう。ではまず入学式ね。あなたは前の日の晩、興奮しちゃって中々眠れず寝坊して『遅刻遅刻~!』とか言ってパンを咥えながら走って来て、誰かとぶつからなかった?」


「いいえ。そもそも寝坊してませんから」


「ふつかった拍子にすっ転んで、スカートが捲れてパンツを見られて『イヤーン!』なんていうラッキースケベな展開には」


「だからなってません!」


 私は思わず自分のスカートを握り締めて叫んでいた。


「王子ルートじゃないってことね。じゃあ次はやっぱり入学式の日に、あなたは道に迷って噴水広場の辺りをウロウロしてなかった?」


「迷ってません」


「そこをたまたま通り掛かった親切な人に道案内して貰った時、突風が吹いてスカートが捲れてパンツ見られて『モーレツ!』なんていうラッキースケベな展開には」


「だからなってません! さっきからなんなんですか!? そのラッキースケベって!?」


「宰相子息ルートでもないのね。じゃあ次は入学してちょっと経った辺りね。あなたは木の上に登っちゃって降りられなくなった子猫を助けたりしなかった?」


「助けてません」


「スカート履いてるのに木登りしちゃって、たまたま通り掛かった人が心配して近寄って来た時、下から覗かれてバンツ丸見えになっちゃって『どこ見てんのよ!』なんていうラッキースケベな展開には」


「だからなってませんって! そもそも木登りなんかしませんよ! それとそのラッキースケベってホントなんなんですか!?」


「騎士団長子息ルートでも無いのね。じゃあ次は」


「まだあるんですか...」


 私はウンザリして来た...

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