第22話、魔導銃は凄かった

 Sクラスのアンデッド討伐依頼というのは、単独のスケルトンやゾンビではない。

大量発生しているダンジョンや、村が襲撃を受けている場合などだ。

今回は、村に数百規模の群れが襲われているというものだった。

村に行ってみると、襲撃はよるとのことだったので、3人を残して俺はゼータを迎えに行く。


「アンデッド討伐なんだけど、大丈夫?」


「問題ございません」


 俺はゼータの入った棺を馬車に積み込み村に戻った。


「日没まではまだ時間がございます。

それまでに、食事を済ませてください」


 村で出された食事は、決して豪華というものではなかったが、それでも田舎の味というかおいしかった。

やがて日が沈み、アンデッドの時間がやってくる。


「ゼータ、そろそろだ」


 俺は棺をあけてゼータの出陣を頼む。


「では、血を50ccほどいただけますか」


「どこから吸うの?」


「やはり、古の作法に則り首からでお願いします」


 俺はゼータに首を差し出した。

ゼータの歯が食い込むのが分かるが、痛みは感じなかった。


「ふう、主の血は美味であるな」


 あれっ?


「では、まいろうぞ。

なあに、アンデッドの100や200程度なら、我ひとりで十分」


 なんだか、人格が変わってない……


 アンデッドは北の森からやってくるというので、俺たち5人は北の門に移動する。


「来たぞ!」


 見張りが大声で叫んだ。

かがり火によりそれなりの範囲は視認できるのだが、俺達にはまだ見えない。


カチャッ! エリスが魔導銃の引き金を引くと、100mほど先が急に燃え上がった。


「見えたのか」


「うん、なんとか」


その炎の周りに、薄っすらとゾンビやスケルトンが浮かび上がる。


カチャカチャカチャッ!


 次々と炎上するゾンビやマミー。

スケルトンは骨だけなので崩れるだけだった。

その炎がまた次の獲物を浮かび上がらせる。

アンデッドは動きが遅いため、こうなると、殺戮ショーだった……元々死んでるんだが。


「私たちの出番が……」


 シルビアががっかりしたようにつぶやく。


「まあ、いいじゃないか。

だが、これほどの威力なら、増産してみたいな」


「うん、私たちもあれで戦いたい!」


「わかったよオネエ、帰ったらトライしてみるから」


 資料に、魔導銃のプログラムは書いてあった。

書き込むだけなら俺にもできるかもしれない。



 アンデッドの襲撃がおさまったので、俺は村長に確認した。


「明日はどうしますか」


「いや、これで壊滅できたと思う。

また発生するようなら、別に依頼を出しますよ」


 俺は依頼書にサインをもらって帰路についた。

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