第9話、作戦会議

オーガの討伐依頼はBクラスだ。

ソロの俺では、クラスアップするまで受注することはできない。

この誘いは俺にとってもメリットのあるものだった。


「場所はどこなんだい」


「東に40kmいった山村だ」


「それなら、ついでにこの二つのオーク討伐も受注していいかな」


「ああ、場所も近そうだし、いいぜ。

じゃ、出発しよう」


40kmという距離は、歩いて10時間かかる。

俺は余分な荷物を預かり、収納に保管した。


「やっぱり、収納持ちは便利ね。

こんな楽ちんな移動ははじめてよ」


「その分、戦闘ではあまり役に立たないけどな」


「そんなことはないだろう。少なくともソロでオークを倒せるレベルなんだから」


「単に避けるのがうまいだけだよ。

その分、火力が乏しいから、倒すのに時間がかかっちまうんだ」


「火力不足だったら、武器を変えればいいじゃないか」


「重量のある武器や扱いの難しい武器にすると、どうしてもそっちに意識がいっちまうからな。

今のところ短剣が一番合ってるんだよ」


「まあ、戦闘スタイルってのは人それぞれだからな。

下手にスタイルを変えてケガするよりも、スタイルを変えずに火力アップを考えた方がいいだろうよ」


そんな話をしながら歩いているうちに、依頼のあった村に到着した。


「こんにちわ。オーガ討伐の依頼を受けて来たんですけど」


「おお、よく来てくれた。

村長のところに行ってくれ」


門兵に案内されて村長の家に行く。


「遠いところをすまんな。

オーガは北の畑に出るんじゃよ。

畑を荒らすオークを食ってくれるのはいいんじゃが、わしらもエサにされかねんからのう。

今日のところは、ここに泊まってもらい、明朝若いもんに案内させよう」


「はい。よろしくお願いします」



「それで、作戦はあるのかい」


「俺らの通常パターンなんだけど、チビが攪乱してノッポが盾になり、そのすきに俺がアタックをかける。

オネエは回復役なのでノッポの体力回復が中心だ」


「そうなると、ノッポが抑えきれるかがカギだな」


「大丈夫っすよ。

抑えてみせますから」


「過信は禁物だぞ。

ノッポに集中されないように、俺もおとりに加わろう。

基本は下半身への攻撃で足止めを狙う。

もし、武器を持っていたら、武器を持っている側から攻撃するんで、エースは反対側から仕掛けてくれ。

俺の攻撃は微々たるもんだから、そこはエースが頑張ってくれよな」


「田吾作さんが下半身を狙うなら、俺は上半身に注意がくるように抑えればいいっすね」


「ああ、そうしてくれ。

チビも背後から下半身を狙うようにしてみてくれ」


「了解っと。

じゃあ寝ますかね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る