第18話 婚約者と帰り道 1

「買い物、まだあったんだね。終わったと思ってた。」

徹と他1名と分かれてから僕と天音さんはコンビニを訪れていた。


「ああ、いえ、買い物はもう無いですけど、」

天音さんはそう言った。

じゃあ何故コンビニに?


「じゃあなんですか?」


そう言うと彼女は笑いながら

「なんか2人で放課後買い食いとかして見たいなって、怜さんと一緒に買い食いとかして見たいなって思って」

そう天音さんは言った。彼女は少し僕との会話に慣れて来たのかスラスラと話すようになっていた。


買い食いか、なんか青春っぽいな。いいな、確かに、

「だからコンビニですか。じゃあ、まあ肉まんでも買いましょ。」

そう僕が言うと彼女は目を輝かせた。

天音さんはなんかこう言う食べ物結構好きな気がする。


「天音さん、嬉しそうですね。」


そう僕が言うと彼女は頬を膨らませながら、

「なんか私が食いしん坊見たいじゃないですか。私食いしん坊じゃないですもん。」

そう言ったのが可愛かった。

それから、肉まんとピザまんどちらを買うかを真剣に悩んでいた。


「あの、ピザまん僕が買うので天音さん、分けますか?」

そう僕が言うと彼女は顔を赤くした。


「だだだ大丈夫です。別に大丈夫です。私食いしん坊じゃないんで、」

可愛い、何この子可愛いやっぱり天音さん可愛い。


「違うよ、僕が食べたいだけだからね。それでシェアする?」

そう僕が言うと彼女は目をキラキラとさせながらそれでも何か涼しい表情を浮かべて、クールを装って


「別に怜さんが良いなら、それで良いですけど。」


そう言った彼女は完璧に取り繕った表情をしていた。

クールで冷たい印象を受ける目、整った目鼻立ち、真っ白な肌、崩れていない表情。

しかし彼女が喜んでいるのはすぐにわかった。

表情は完璧だった。動きがダメだったのだ。

めっちゃくちゃガッツポーズを決めていた。


「良かったね。」

そう僕が言うと彼女は表情崩さずにそう言ったが明らかに動きがあたふたしていた。


「嬉しいのは怜さんですよね。ですよね。そうですよね。ね、ね、ね。」

彼女はどうしてそんなに食いしん坊である事を隠したがるのだろう。


「そうだね。天音さん、えっと、可愛いと思いますよ。天音さんの食べてるとこ、可愛いって思いますよ。えーと、はい。可愛いですよ。だから別に食べたいこと隠さなくても」

そう言うと彼女は


「えー、そうですか?ふふふ」

そう言って楽しそうに揺れていた。


「うん、じゃあ買おうか?」

そう僕が言ったら彼女は笑顔で


「はい」

ってそう言った。何で?何回見ても可愛いのだろうか?頭はバグり心臓は破裂して、うんやばい事になりそうだ。


それから僕が可愛いとか言ったのが悪いのだが、ほとんど僕のピザまんも彼女が食べてしまった。


まあ可愛いから良いや。

そんな風に開き直った頃に僕は彼女に一つ尋ねる事にした。


まあ乙女の思考は乙女に聞くことが早い気がするしね。

乙女、鬼頭 楓の思考がどんな風な物か尋ねる事にした。

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