アンメイ皇女の画策


「リリスさん、まずいことになってきたわ……」

 イザナミさん、いささか憂鬱そうな顔です。


「どうされたのですか?」

「エデン銀河帝国の女奴隷の話を、惑星世界管理局が嗅ぎつけたようなのよ……」


「いえね、書類の不備とか、担当者が不在とか、色々理由をつけて引継ぎを引き伸ばしているようなの」

「あそこのハウスバトラーの山下さん、切れ者なのよね……」


「まずいことに、アンメイ皇女がハウスキーパーにご挨拶に来られるのよね……例の教皇専用の温泉接待所の女奴隷さんを引き連れて」

「あの女奴隷さんですか……」


「しかもハレム設立の嘆願をするとか……」


「これでは惑星世界管理局が、ハレムの話が未解決とかいって、こちらにその処理を押し付けてくるわよ」

「そうなったら、引き継ぎを済ませていない以上、ミリタリーがソロモン宇宙の担当者、逃げられなくなるわ……」


「イザナミ様、その場合、ヨミのメイド長たる、このリリスが責任者として『百合の会議』で申し開きいたします、ご安心ください」

「リリスさん……もし、そうなったら……やはり、私が出るべきよね」


「では二人で申し開きいたしましょう」

「そのまえに、まずはアンメイ皇女の話しを、引き継ぎ後にしていただくように説得いたしましょう」


「そうね、彼女、まだリンダウ・ステーションよね、お願い出来る?」


 リリスさん、急遽リンダウ・ステーションに戻ったのです。

 簡易鉄道が開通していますので、ニライカナイからでも、そんなにかからないのですね。


「ねえ、キスキル=リラ、アンメイ皇女はいまどこにいるか知らない?」

 ステーションに出迎えに来ていた、キスキル=リラさんに聞いているリリスさんです。


「近頃はいつも村役場におられます、ベルクト村長とバーデン孤児院院長と三人で何やら話し込んでおられますね」

「仲が悪いと思っていたけど?」

「教団排斥が終わった頃ぐらいから、仲がよくなられたようですね」


「嫌な予感がするわね……説得は無理かしら……とにかく会いに行ってくるわ」


 その頃、村役場で三人は連日の話し合いをしています、今日も……


「アンメイ様、本当に良いのですか?」

「そうですよ、なにも皇女が女奴隷にならなくても……しかも相手は女というではありませんか……」


「私ね、先頃ネットワークの根拠地に招待されたのよ、そこでエデン銀河帝国がどのくらいちっぽけな存在か思い知ったわ」

「女たちを管理するハウスキーパー事務局に挨拶にいっても、アポイントメントをとっていないといわれたのよ」

「でもね、ダニエラ・ギッシュ様とおっしゃる方が会って下さったのよ」


「その時、ハレム設立を希望するのかと聞かれたので、希望しますと独断だけど返事しておいたわ」

「なら後日、設立の趣意書、人員名簿、ハレム運営方法などをまとめて、ハウスキーパーに正式にご挨拶と称して、ハレムの管理責任者が持ってくるようにと云われたの」


「でもね、ダニエラ・ギッシュ様が、エデン銀河帝国と同じような立場で加盟申請をしたソンガイ帝国のアスキア・シノ皇女を紹介して下さったの」

「色々ネットワークの事を教えていただいたわ」

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