リリスの眷属


 アルダト・リリー……

 イザナミさんが、主のテラにいるアスラ族女性体が衰退し、連絡が途絶したアスラ族女性体の指導部に今後の指示を求めて、自分のメイド長たるリリスを探索に出した時、その眷属として製造したアンドロイドの内の一つです。

 リリスの眷属は三体、アルダト・リリーはもう一体のイドル・リリーとともに汎用メイド型で、一応警護能力として、有機体に対して睡眠音波を出せるようです。


 もう一体、キスキル=リラというものは戦闘タイプで、コシャル・ハシスさんのタイプで、指の爪が伸びて、ナイフのように何でも切り裂けるそうです。

 その上、この『爪ナイフ』は弾丸のように発射できるようです、その上にいくらでも爪は伸びるのです。


「私はリリス様の眷属の方々に、お会いしたことはない」

「このパイロットの記憶領域は話しが出来るのか?」


「戦闘艇の残骸はあの通信を最後に完全に壊れたようです、ただこの記憶領域は生きていますが、この艦では対処できません」

「困ったな……この記憶装置と会話が出来ればいいのだが……」


「艦長、たしかプラネテスの天照大神様が人工知能だけになったとき、簡易的に小型ロボットにつないでヴィーナス様と話しをなされたはずです、その小型ロボットに繋げれば……」

「現在、ソロモン宇宙のワームポイントステーションからのショートワープポイントは維持されています、オルゴール通信ならイザナミ様につながるのではありませんか?」

「そういえば……つながるかも知れない……」


 寵妃に渡されているオルゴールは驚異的ですから、これがイザナミさんにつながったのです。


「イザナミ様、すこしご報告があります」

「古い女性体の戦闘艇の話しは報告を受けています、あれは確かにテラにいた主様たちの戦闘艇です……多分リリスたちが乗っていった船に積み込んでいた形です……」


「その戦闘艇にはパイロットの人工知能が保存用の記憶領域に転送されており、最後の最後で通信してきました」

「お陰で敵の初動攻撃に対処できましたが、そこで戦闘艇は全て機能が停止しました、ただまだ保存用の記憶領域は機能しているようです」

「そこで、この記憶領域と話しが出来ないかと……天照大神様の時のように……小型ロボットに繋げれば……」


「分ったわ、少し時間をちょうだい……」


「それから……そのパイロットの名前なのですが……アルダト・リリーと……」

 !

「アルダト・リリーといったの!」

「はい……真偽の程は分りませんが……少なくとも、我々を助けるために、最後のエネルギーを使って警告してくれました……嘘はないかと……」

「ありがとう……イシス様は試験は完璧とおっしゃっていたわ、これからは実戦とね……とにかくしばらく時間をちょうだいね♪」


 少し嬉しそうなイザナミさんの声でした。


 しばらくすると、オルゴール通信がかかってきました、なんとイシスさんからです。


「お手柄ね♪イザナミさんが泣きついてきたのよ、でね、云われていた小型ロボット、あれは天照大神さんの宝物のようでね、悪いから、マレーネさんがイザナミさんから製造データーを受け取り、オリジナルを急遽作っているそうよ」

「あと二時間待ってね、それを持ってイザナミさんがそちらに行くそうよ」


 二時間後、なんとイザナミさんは、ヨミ号に収納されている警備ステーションを4隻結合させて、宇宙をわたって来たのです。

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