戦うことを運命付けられた存在たちが辿った、それぞれの結末への物語

人類が滅んだあとの世界。
戦うためにつくられた彼らには、もちろんシステムやプログラムや記憶からなる思考力が備わっているのですが、不思議と人間くさい部分もあり親しみがわきました。
もってしまった感情のようなものと組み込まれた性質や性能との板挟みに悩んだり、それを乗り越え行動する姿には、アンドロイドなはずの彼らをより人間らしく感じさせられました。
なかでもヒロインは一際に感情豊かで争いを好まない性格で。
彼女の気持ちとは裏腹に、けしかけられる争いと悲哀にウルウルしながら読みました。
滅んでゆく文明のなかで育まれてゆく主人公たちの心のような何かが対称的で切ない。
悲しくて、それでいて綺麗な物語です。