第20話 ベッドの上のセシル
頭が痛い。
ずきずきと鈍く頭が悼む。
たしか、従姉のクロエやメイドのリィネ、王女アウレリアたちと一緒にお風呂に入って、のぼせたんだった。
あれは刺激が強すぎた。裸のクロエに抱きつかれたり、アウレリアを押し倒して胸を揉んでしまったり……。
夢を見ているのか、目の前にはアウレリアがいて、僕はその柔らかい胸を揉みしだいている。
「んっ……あっ……」
裸のアウレリアが恥ずかしそうに身をよじり、金色の髪を振り乱す。その胸の柔らかい感触に、僕はうろたえる。
でも……夢にしても、アウレリアの胸が大きすぎるような……。
アウレリアはまだ12歳の幼い少女で、そんなに胸が大きいわけないし、実際にお風呂で揉んだときもそんな大きさはなかった。
それに、やけに感触がリアルのような……。
そこで僕は目が覚めた。
まぶしい……。と思った次の瞬間、とんでもない光景が目に入ってくる。
そこでは一人の少女が、ベッドの上の僕を覗き込んでいた。しかも頬を赤く染めて、恥ずかしそうにしている。
そして、僕は手を伸ばし、その子の胸の膨らみを、両手で揉みしだいていた……!
「あっ、んんっ。お、おはよう、レノくん……きゃっ……」
僕の手の動きに合わせて、その胸の大きな膨らみは形を変え、そのたびに少女は甘いあえぎ声をあげている。
クロエの友人の女子生徒セシルが、僕に胸を揉まれている少女だった。
慌てて僕は手を止める。寝ぼけていたみたいだ。
それにしても、どうしてセシルがここにいるんだろう……?
セシルはほっとしたような表情で、くすっと笑う。セシルは、そばかすが目立つけれど、かなりの美人だ。
しかも、クロエよりも発育が良いのか、スタイル抜群で……。そのうえ、学園にいたときと違い、大胆に胸元の開いた私服に身を包んでいる。
胸の谷間に視線が釘付けになる。
セシルもそれに気づいたらしい。
「レノくんのエッチ」
「す、すみません……」
「あたしの大きなおっぱいをつい触っちゃった?」
「そ、そんなこと、口に出さないでください……」
「でも、事実でしょう?」
楽しそうに、セシルは言う。寝ぼけていたとはいえ、まずいことをしてしまった。
謝ろうと思ったけれど、セシルもベッドの上でなぜか僕に馬乗りになっている。
ここは公爵家の屋敷の医務室であることはわかる。幸い、医務室のベッドなので、周りはカーテンが引かれている。けど、状況が理解できない。
「えっと……セシルさんは何しているんでしょう?」
「あはは……たまたま遊びに来たら、レノくんが倒れたって聞いてね。クロエが看病していたんだけど、休憩するからあたしが交代していたの」
「ありがとうございます。でも、なぜセシルさんもベッドの上にいるんでしょう」
「れ、レノくんの寝顔が可愛くて……ちょっといたずらしようと思ったの。そしたら、あたしがレノくんにいたずらされちゃった」
セシルは面白がるように、片目をつぶってみせる。でも、その顔は赤くて、とても恥ずかしそうだった。
年下の12歳の子供とはいえ、男に胸を揉まれたんだから、当然かもしれない。
というか、今も現在進行形で、僕の上に乗っかっていて、下半身が密着した状態だった。
セシルはふふっと笑って、僕の耳元に口を近づける。
「寝ぼけたレノくん、必死にあたしのおっぱいを触ってて、可愛かったよ」
セシルのささやきが、耳をくすぐる。僕は自分の頬が熱くなるのを感じた。
からかわれているとわかっていても、恥ずかしい。
「ご、ごめんなさい……」
「あたし、初めてだったのにな。男の子に胸を触らせるなんて、レノくん以外にしたことないよ?」
「そ、そうなんですか? セシルさん、モテそうだから、てっきり……」
「そう見える?」
「はい。セシルさんは話しやすいですし、美人ですから……」
僕がそう言うと、セシルは目を丸くして、そして嬉しそうな顔をした。
「やっぱり、レノくんって可愛い! もう一度、あたしの胸、触ってみる?」
「え!?」
「誤解しないでね。こんなことさせるのは、可愛いレノくんだけなんだから」
小悪魔のような、とても可憐な笑みで、セシルは僕に言う。
僕は(外見は)12歳だけれど、誘惑ととられてもおかしくない、際どいセリフだ。
「どう? 触ってみたくない?」
セシルの胸の柔らかい感触を思い出し、僕は誘惑に負けそうになる。
けれど、そんなわけにはいかない。あとでクロエに知られたら、何を言われるか……。
僕が迷っていると、セシルは右手で僕の右手を取り、そして自分の胸に僕の手を押し当てた。
「んっ……」
セシルがわざとらしく、甘い声をあげ、そして、僕を熱っぽく見つめる。
僕の右手はセシルの胸に添えられていた。
その形の良い胸の感触が、僕の手に伝わってくる。
そして、僕は反射的に、セシルの胸を撫でてしまった。
「ひゃうっ!」
セシルがびっくりしたようにあえぐのと、クロエが部屋に戻ってきたのはほぼ同時だった。
☆あとがき☆
更新間隔が空いてすみません……! カクヨムコンに参加しているので、これから更新していく予定です。
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