先輩と一夜を共にした。内に秘めていた想いを伝え、身体を重ねることを選んだ。先輩に大切な存在がいることは知っていた。それでもなお、君は情動に身を任せたんだ。

 先輩は君に何度も「愛している」と言った。家庭が上手くいっていないのか、長らくご無沙汰だったようだ。君と何度も口づけを交わし、軋んだスプリングに身体を沈める。どちらかが果てるまで、蒸し暑い夜は続いた。


 それから数ヶ月が経ち、先輩は君に君に愛を誓うようになった。左手の指輪を捨て、多額の金を払って家族から離れたのだ。

 君は愛する人を手に入れた。おめでとう、ハッピーエンドだ。たとえそれによって誰かが不幸になろうとも、君は自らの望みを叶えた。犠牲になった他人のことなんて無視して、その喜びを享受すればいい。


 ハッピーエンドって、そういうものだろう?

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