どうしようもなく

 時間が経過するのも、お腹が減っていくのも、文章が連なっていくのも、どうしようもないことだ。何かこれといった方法によって、自分にとって都合よく働く様にはできないのだ。自堕落なだけなのかもしれない。


 一日に何作も更新する人というのは、だからとんでもない才能を持っているのではないか。逆に、僕の方がどうしようもなく才能に欠けているだけなのかもしれない。どうでもいいことだ。どちらも真実であったとして、結局動き続けるしかないのなら、そうするだろう。進まなければ、辿り着く事はない。僕はやはり進んでいく事を決断するだろう。そうしなければ、どうするのだ。そのまま朽ちていくだけなのか。そんなにきっぱりと諦められるのか?


 どうしようもないことだ。全くどうしようもないことだ。僕が何を決断したところで、そこで何かが決まる訳もないのだ。ただ緩慢に、結果が迫ってくるだけだ。しかし、どれだけの速度を持ってそれから離れようとしても、絶対に僅かに結果の方が速いのだ。だから追いつかれる。それは締め切りの様なものでもあるし、死期の様でもある。それがどうしようもないものの正体だ。つまりは区切りの事だ。僕はそれに対面して、ただそれを受け止めるだけなのだ。それしかないのだ。僕は、そうしていかなければ生きていく事ができない。死んでしまう事さえも、やはりできないだろう。


 僕は、その区切りに対して、何も手を打てないでいるのにも関わらず、それでも生きていかなければならないのだ。いや、むしろそうであるからこそ、生きる事に意味が生じるのかもしれない。それさえも対処できてしまえば、生も死も曖昧になって、どちら側に立っていても構わないという事になる。どうしようもないがどうでもよくなるというのは、だからごめんだ。僕は生きる。僕は寿命を迎え撃つ。そうやって僕は決断していくだろう。どうしようもなく、そうさせられるのだろうと思う。

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