第5話 ラプンツェル⑤

 二人は3階にやって来ました。


 3階の扉が閉まります。

「フォォォォォーーーーー!!」


「寒い!!」

 エリーゼは、王子に密着しました。

 王子もエリーゼの肩を抱くようにして、歩を進めます。


 進むにつれ、床が氷の様に凍り付き、風は雪混じりになって、視界が効かなくなって来ました。


 そうした中、目の前に一人の可愛くて、雪のように白い肌をしたお姫様のような女性が現れました。


 女の子といいたいのですが、ムネが大きく、この寒いのに薄着の彼女は、そのムネの膨らみがとてもエロくて、身体は大人なのでした。


「王子様、待っていましたよ。さあ、こちらに・・」


 そう言われた王子は、フラフラとその姫の方へ行こうとしました。

 ですが、横に居るエリーゼは、それを許しません。


「王子様、は・や・く~~」

 そう言うと、その姫は投げキスをしました。


「は・・い・・・いま・・いきます・・・」

 まるで、魔法が掛かった様に、王子の目はトロンとなり、姫の方へ行こうとします。


「ダメよ、王子様!!目を醒まして!!あなたには、わたしというモノがいるんですよ!!」

 何気に、告白するエリーゼでしたが、王子は聞く耳を持ちません。


 王子はエリ-ゼを振り切り、姫の元へ行くのでした。


「おうじさま・・・」

 エリーゼは、涙を流しました。


 姫は、王子に向けて、氷の息吹を吐き、王子の身体を凍らせるばかりでなく、王子のエリーゼに対する芽生え始めた恋心をも凍らせようとするのでした。


「ふぉぉぉぉーーー!!」


「ダメ、おうじさまーー」

 そう言うと、エリーゼは王子に抱きつきます。


 エリーゼは、王子を自分の身体で温めようと、上着を脱ぎ、下着だけになりながら、そして寒さに震えながら、王子を抱きかかえます。


 流している涙も、凍り付いてきました。


 エリーゼは、意識が無くなりそうでした。


「わたしは、負けない。これ以上、愛しい人を奪われたくない」

 エリーゼの心は、ジョーから、この時はっきりと、このモーリス王子に傾いていたのでした。

 ジョーは、もう、エリーゼには過去の人となっているようでした。


「わたしが、このひとを守ります!!」

 聖剣がびくっと震えました。


「うふふふふ、ムダよ、無駄無駄!!王子は、私だけのモノ。誰にも渡さないわ!ほら、王子、私にキスするのよ!」


「は・・はい・・」


「わたし・・・あなたにだけは、負けたくない!王子様は・・王子様は、わたしが守るのよ!!」


 エリーゼの心に火が着いたのでした。

 それは、嫉妬の炎なのか、勇気の炎なのか、はたまた愛の情熱による炎なのか?


 いつの間にか、エリーゼの手には聖剣が握られており、それをエリーゼは振っていました。


 聖剣からは炎が迸り、姫を包み込みました。


「うう・・ぐぐぐぐぐ・・」

 姫は苦しむと、いつの間にか、鬼女に変わっていました。


「お前たち、このままで済むと思うなよ。我らがラプンツェル様の凄さを知るのはこれからだ!」

 そう言い残し、鬼女は消えたのでした。


 そして、この階の床の氷はなくなり、寒さもなく、冷たい風もなくなっていました。


 王子は、正気に戻りました。


「ありがとう、エリーゼ!!君は僕の命の恩人だ。好きだ、大好きだ!」

 そう言うと、王子はエリーゼを強く抱きしめ、熱いキスを交わすのでした。


 エリーゼは、王子を愛おしく思い、彼の熱いキスを受け入れるのでした。


 つづく


 あれ?

 王子は正気に戻ったのか、これ?

 だんだんと、二人の関係は親密になっていってるけど、そうでなくてはクリアできないのも確か?

 結果オーライか、それとも?






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る