第四章 結局のところ、どうすればよかったのか

 これは、どの時点で対応するかにもよる。

 いじめ対応で有効なのは、物理的に引き離すことである。

 接触しなければ、加害行為は行われない。


 しかし、画像を握られているとなると、対応は難しくなる。

 画像の拡散を防ぐことが最優先となるであろう。


 今回の場合は警察が介入したが、C男が触法少年ということで、おとがめなしとなった。これも恐らく、画像の拡散を恐れてのことではあるまいか。

 画像を握られている状況で、警察も介入しないとなると、教師が加害者に対して強硬手段を取るのは難しいであろう。

 そうなると、加害者とディールするしかない。

 時間を稼いで十四歳まで待てば、法的措置も検討出来る。検挙見送りを引き換えに、画像の拡散を防ぐくらいしか手はないだろう。


 しかし、画像を持っているのが六十名だとすると、北星中学校と北門中学校の一学年の半数に当たる計算になる。流出を防ぐのは至難の業かもしれない。

 取り敢えず、一番弱そうな生徒をとっ捕まえて、通信データを提供させる。勿論、処分なしと引き換えである。更に一人ずつ呼び出し、証拠を突き付けて脅しをかけて、データを消去させる。


(『事情が事情なので、警察への通報もやむなしと考えています』)


 並行して、被害者へのメンタルケアを全力で行う。

 万が一外部に流出した場合は、そのまま警察行きしかない。


 ウルトラCとしては、男子どもの画像を送らせて脅迫するというテもあるが、何せ人数が多すぎる。


 『Line60』のメンバーに関しては、未だに情報が上がってきていない。

 現在、A女とB男の卒アル写真が流出している。彼らは北星中学校の卒業生だが、C男の方は北門中学校だと言われている。

 何故、北星の卒アルが早々と流出して、北門の方は、未だに情報が出てこないのか。

 教師の怠慢から、北星中学校の方が槍玉に挙げられているが、『Line60』は、C男がいた北門中学校の方がメインなのではないだろうか。

 学校HPによると、一学年の生徒数は百四十名前後である。半分が男子だとすると、ほぼ全員が『いじめ』に関わっていることになる。

 彼らの中には、罪の意識に苛まれている者も、少なからずいるに違いない。

 いずれにせよ、関係者の首を晒さないことには、北星校生の受験や就職は絶望的であろう。

 早期に、かつ迅速に対応出来ないと、こういう事態になる訳だ。

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