第四部 そもそも担任は難しい立場

 先にも書いたが、教員は加害者とも、卒業まで顔を突き合わせて指導しなくてはならない立場だ。

 特に担任が、加害者に対して過激な対応を取ると、学期末までぎこちない関係を続けなくてはならなくなる。

 対応を誤ると、普段の指導にも支障をきたして、大変に厄介なことになりかねない。


 本来ならば、文科省がマニュアルやらガイドラインやらを作成して、誰でも対処出来るようなシステムを構築しておくべきなのだが、未だにそんなものは存在していない。

 何かあると、付け焼刃の対処方法を文書で出すだけだ。

 スキルもマンパワーもなく、具体的な指示もしないで、教員本人の資質と根性だけを頼りに、『何とかしろ』『解決しろ』というのは、完全にブラックの構図である。日本の教育界全体が、無能型ブラックと言えるかもしれない。


 生徒を処罰するにも、それなりの権限とルールが必要なはずだが、それらなしに実力行使を試みるとなると、行き着くところは結局のところ体罰ということになってしまう。そして一度手を出せば、懲戒免職の道が待っている。


**********************


 思い付くままに、四つの問題点を指摘した。

 勿論、他にも問題点はたくさんあるのだろうが、これだけでも、現状でいじめに適切に対応することが如何に困難か、御理解頂けたのではないかと思う。


 これらの問題点を踏まえた上で、対処方法を考えていきたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る