第8話

俺の未来の嫁とそっくりの人形を作るなんて、一体誰の仕業だ?許せん。

とりあえず、他に手がかりがないかどうか脱がしてみる。名前とか書いてあるかもしれないし。

まあないだろうが。

ジャケットを脱がして、パフスリーブの白いブラウスをはぎとり、スカートも脱がせた。

白いレースの飾りも繊細な下着姿。

…きれいだ。

どこまで精巧にできているか、気になってしまう。

ブラをはずして、あらわになった胸を指で下から上に持ち上げるようにしたかと思うと、親指と人差し指で揉むようにつまむ。

白い2つの小さなふくらみの上にぽちっと薄ピンクの先端が、ある。

『乳首もあるってリアルだな』

思わず出ていた自分の声に、ドキリとしながら、

先端の凹凸を確かめるように親指で押してみる。

本当に誰だ、こんな人形を作ったのは。

リアルにもほどがある。

等身大の人形を作らせたくなるじゃないか。

俺の、俺だけの白薔薇なのに。

『白薔薇…』

触れるか触れないかの、キス。

そしたら、ぼんって!!


って、なんでーー?!


次の瞬間、白いレースのパンツ一枚のほぼ全裸の姿の、本物の白薔薇をお姫様抱っこしていた。

長い髪の毛が広がって、両手で隠している胸ごと金の髪がおおう。

広がった髪の香りか、いつもの白薔薇のいい匂いがぶわっと広がる。本物、本物だ。


何で?

どういう…!?


俺は、ぽかんと口開けて、

それから全身の血が沸騰したよう熱くになって、

急激に背筋が凍る。


母の教え!

『決して白薔薇をいやらしい目で見てはいけません』

が頭の中に響く。


大きな紫水晶を思わせるキラキラした瞳が、俺をじっと見つめてる。

すべすべしっとりした白い肌を直に触っている。お姫様抱っこで。華奢な白薔薇は決して重くはないが、その質量にくらくらする。


全身冷水を浴びたような俺は、目をかって見開いて

ぎゅってつぶって、とりあえず気休めになるかどうかわからんが、

『みっ、見てない!俺は何も見てないからっ!』

と言ってみる。

いや、見たけど。

上の下着まで脱がしちゃったけど。

え?え?どういうこと?

人形だと思っていたのが、本物だった?

道理で細部まで精巧に…

って、色々触っちゃったんだが…

白薔薇の表情からは何も読み取れない。

こんなことしたら、顔面パンチが飛んできそうだけどそれもなく。

はだか同然の白薔薇をお姫様抱っこの状態って、これからどうすればいい?なんで?どうしてこうなった?







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