第6話 ムガチ村を襲った魔物(1)


ムガチ村で村長から魔物について聞いたあと村人からも聞き込み調査を行った。

時間は昼過ぎくらいだったので、途中で購入した食料をお弁当のように広げて、村の広場で昼食を取りながら作戦会議をしていた。


村を襲った魔物はゴブリン型が10匹程度。普通なら村の自警団で対応できたはず。

しかし、1匹1匹が妙に強く、統率が取れていたそうだ。それに、食料や女子供にも手を出さず、1匹2匹がやられると、さっさと逃げ出したのだという。

通常村を襲うゴブリンは2種類で、喰い詰めて腹を空かしてやってくる場合と、統率者(ゴブリンの中でのロードやキングなど)が率いている場合だ。しかし、後者なら10匹なんてことはない。50匹から100匹の軍を率いるものだ。

となると、10匹程度で統率が取れた動きというのは、偵察部隊だったのだろうか・・。それに、妙に強かったというのも気になる。

 「自警団にはけが人はいたが死者は出なかったらしい。自警団の人たちもLv5から10程度で、むしろ駆け出しの僕らよりもLvは高い。村人だからというのを差し引いても基礎戦力は低くなさそうだ。となると、普通のゴブリンであるとは到底考えれない。村を離れられないから冒険者にクエストを依頼するのはわかるが、F~Gランクの駆け出しパーティでは、全滅する恐れもある。どうする?クエストをキャンセルするか?」


タケミの話を聞いて3人はやや不安そうな顔をする。

「タケミさんの強さなら、それでも全然平気かなとは思いますけど、たしかにただのゴブリンじゃないとなると、Fランククエストでは無いかもしれません」

アリーシャは前回、別のパーティでの初クエストで、森で魔物に襲われ全滅しかけた経験があり、慎重だ。

「しかし、ゴブリンが10匹程度とわかっているんだし、目と耳の良い猫人族のマルファタと、能力10倍のタケミが居れば、襲撃を受ける確率も低い。先手を打って遠距離から弓で攻撃するなど、注意をしていれば、大丈夫さ」

ディックは強気だ。


確かに、100m先の魔物の気配、臭い、足音や声が聞こえるほど探知能力も高いわけなので、先手を取られるリスクは低いだろう。

注意を怠らなければ、ゴブリンに負けるわけはない。ただ、ゴブリンだけで無ければいいが・・・


結局、クエストを続行することで意見は一致した。


「しかしこれ、、、うまいな」

バンズパンに肉を挟んだだけの肉ハンバーガーのようなものを買って食べているのだが、これがけっこう美味い。


2個で銀貨1枚か、、、(だいたい一個500円くらいだな)


予備の食料も購入し、アリーシャの空間収納に入れてもらった。

マルファタもディックも空間収納は持っていない。

タケミはLvが2になった時に自分のステータスの変化を確認していた。


Lv1→Lv2

力、速さ、体力などの素ステは平均で8。LvUPにより全能力が1ずつUPしていた。

HPは30から40へUP。MPは初期数値10のままだった。

そして、割り振り可能なSPというのが5という表示になっている。

(この能力が10倍ということは、、力は9→90になっているというわけか。。。。SPを全部力に割り振ってみようか)


5残っている割り振り用SPを全て力のUPに割り振ってみた

【力が9→14になりました】

その表示をみて少し内心驚いていた。


これ、、、これで10倍なら、力は140と同等という事か。

Lv1で力が8(つまり80)あった状態でゴブリンは一撃、大型のホブゴブリンも一撃で壁にめり込んで死んだ。これが1LvUPしただけで140になっているのだ。

Lvが上がればあがるほど、ステータスUP効果も全て10倍と考えると、他の能力や魔法習得、MP使用の解放などにSPを費やすのがもったいない気がした。


「タケミさん?」

黙りこくっていたタケミを心配そうにアリーシャが覗き込んでいた。

「ごめん、なんでもない。大丈夫だよ」


マルファタがLv2、アリーシャとディックはLv1


確かに下位冒険者のパーティで見れば、チートと言えるかもしれない。

「こんな序盤のクエストでつまづくわけがない」

そう自分に言い聞かせて、ムガチ村を出発した。



(2)へ続く・・・
















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