第9話 プレゼントの悲劇:兄

 誕生日の特別豪華な夕飯を終えて、部屋に帰ってきた俺はまた、反省をしていた。


「なんで、あんなこと言ってしまうんだ」


「はあ……」


 素直になれないこの気持ちをどうすればいいのかわからないが、もうこのバッグに託すことにした。


 自分じゃどうにもできなくても、このプレゼントに託せばうまくいく気がする。


 俺は、プレゼントを抱えて、妹の部屋に向かった。何て言えばいいのかなんて、わからないけれど、とりあえずおめでとうと言えばいいのだ。どんなに気持ち悪がられようが、勢いでいくしか今の俺にはない。


 すごい勢いでドアを開け俺は叫んだ。



――――ダンッ


「麗!お兄ちゃんからのたん、ウガッッッ」



 しかし、開けた瞬間、妹はピンクのパンツを見せながら、こちらに向かって、ものすごい声で叫び、真っ赤になって勢いよく出ていけと押し始める。

 それからの記憶はあまりない。ただ、覚えているのは、ピンクのパンツと、妹の叫びと、足が今まで曲がったことのない方向に折れた痛みだけだった。

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