最強ゲーマーの優雅なハーレム学園生活〜ゲームで全てが決まる学園に入った俺、無双しまくって美少女達にモテまくりです!?〜

道野クローバー

プロローグ

謎の天才ゲーマー『Kamiya』

 ──

 最近インターネット上で、謎の天才ゲームプレイヤーが日本に居るという噂が広まっていた。そのプレイヤーネームは『Kamiya』。


『Kamiya』は彗星の如くこの界隈に現れ、格ゲー、音ゲー、FPS、カードゲーム等々……様々なジャンルのゲームで、誰にも負けない程の圧倒的な力を見せつけていた。


 話によれば「プロが束になって挑んでも、全く手が出なかった」「チーター相手に無傷で勝利した」「最難関曲のオールパーフェクトを世界最速で出した」等々……『Kamiya』の武勇伝は、尽きることを知らない。


 そして『Kamiya』は驚くべきことに、1つのゲームでランキング1位を取った後は、いつまでもその玉座に座っていることは無く、素早く他のゲームへと移っていくのだ。


 そして移動した先のゲームでも1位になった『Kamiya』はそのゲームから離れ、また別のゲームへと移動する……


 そんな道場破りのような生活を繰り返している『Kamiya』に対し、ネット上では「次は新作のレースゲームに来るんじゃないか」など予想する者や「次は俺がKamiyaを阻止してやる!」と意気込む者、更には「次は2D格ゲーに来てくれよ、Kamiya!」など、来て欲しいゲームを懇願する者も現れた。


 ……そんな多くの人を魅了してやまない謎の天才ゲーマー『Kamiya』だが、その正体を知るものは誰1人として存在していなかった。


 誰も知らないとなると、やはり皆は気になってしまうようで。ネット上では毎日の様に『Kamiya』の正体について、激しい論争が繰り広げられていた。


 ある者は「Kamiyaはプロゲーマーチームの複垢だ」と。ある者は「Kamiyaはゲーム開発に関わっている人物だ」と。ある者は「Kamiyaは最新の技術で作られた超高性能マシーンだ」と。


 そしてその論争はとどまることを知らず「俺が本物のKamiyaだ」と自称する者や「文字通りKamiyaの正体は『神様』である!」と本気で信じ、祈りを捧げる者まで現れてきたのだ。


 それで結局『Kamiya』の正体は未だに分かっておらず、謎に包まれたままの状態なのだが……ちょっと待って欲しい。


 皆は『Kamiya』の正体ばかりに気を取られているが……どうして『Kamiya』の方から正体を明かさないのか。そっちの方が気にならないだろうか?


 私が思うに『Kamiya』は正体を明かさないのではなく、明かせないような人物なのだと考えているのだ……ここまで辿り着いたら答えは出たような物だろう。そう、ズバリ『Kamiya』の正体とは──


 ──この続きをみるには──


 この続き548文字 ¥5000


 ──


「えっ、金取るの?」


 思わず俺は困惑の声を上げた。そしてしばらくその体勢のまま固まった後……そこの画面に表示された『¥5000』の文字のバカバカしさに気が付いて、乾いた笑い声を上げてしまった。


「ははっ……」


 ……全く、遂に俺の正体がバレたのかと思ったじゃないか。こんなにドキドキしながら記事を読んだ意味なかったよ。時間返して。


 そんな愚痴を垂れつつ、俺はその記事のタブを閉じようとする────


「……いや」


 ……ちょっと待てよ。まだこの時点では、嘘か本当か分からないよな。この記事を購入した先に、俺の本名とか顔写真がバリバリ出てくる可能性だってゼロではないし。


 それは限りなくゼロに近いゼロだけど。ありえない話ではないもんな。ほらオタクが好きなアレ……『シュレディンガーの猫』ってヤツだよ。箱を開けるまで分からないってヤツ。


 今回は記事の先を確認するまでは、俺のガチとウソ情報が両方存在していることになるのだ……


 ……まぁ『シュレディンガーの猫』って、ホントはそういった意味ではないらしいけど。でも間違った意味でも、みんながそうやって使い続ければ、それが本当の意味に変わっていくんだよな。


 ほら例えば……『確信犯』とか『敷居が高い』は完全に誤用の方が正しい使い方に変わっているもんな。


 後は……『Kamiya』もそれと似たような状況になりつつある。


 実際の『Kamiya』はこんなチビでオタクで、可愛い女の子が大好きな、人よりゲームが上手いだけのクソ生意気な中3のガキだけど。


 誰も俺のことを知らないネット上では『プロゲーマー』だの『超高性能マシーン』だの『マジの神』の……そんな『Kamiya』の正体が全て存在していて。


 みんなが噂を続ければ、それらが本当の『Kamiya』の姿に変わっていくんだ────




「……って。マジで何言ってんだ俺は?」


 俺はハッと我に返る。


 深夜に液晶の光をめいっぱい浴び続けていると、どうも自分が賢くなったと錯覚してしまう。実際はそんなことがないどころか、眠気で120くらいIQ低下していると言うのに。


 やっぱり先人が言っていた『深夜にラブレターは書くな』って言葉は本当だったんだな。やっぱ朝に書くべきだよ。脳みそバグってるもん。


 そんなことを思いつつ、最強ゲーマーの『Kamiya』こと俺、神谷修一かみやしゅういちは匿名で送られてきた『Kamiya』についての記事を閉じ、とっとと寝ることにした。

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