第39話 終戦の指導者

「さて、まだ皆は帰って来ない、言いたいことは…わかるな?」


「ああ、また荒らせば良いんだな」


「その通り、今度は市街地戦になりそうだ」


「市街地戦か…住民は?」


「現在避難を開始している」


「間に合わないだろ」


「ああ、そこで君の出番だ、住民を避難出来るように荒らしてくれ」


「了解、お嬢」


「うむ、いい響きだ」







市街地


「さてと…派手にやってくれたな」


悲惨な状態になっていた。


「え〜っと…これは…」


市街地がなんと火の海になっていた。


「ベルか?」


『どうしたの?』


「殲滅許可をくれ」


『…状況は?』


「火の海だ」


『…消火できる?』


「ほぼ無理だ」


『…撤退させなさい、それから消火栓を全て撃ち抜け』


「了解」





「さて、さっさと終わらせるか」


ローズは脳内でケイオスを呼び出した。


『パーツウエポンシステム発動』


「よし、行くか」


『ケイオス・リベリオンシステム同調完了』


「ケイオス・リベリオン?」


『この形態のリベリオンです』


「まんまじゃね?」


『ですが日本語訳すると『混沌の反乱』ですよ』


「ほへ〜強そう、じゃねぇ!!さっさと片付けねぇと!」


『なら一つ名案が』


「ほほう」





『そこです』


「了解!」


ローズは改修型コンパクト・レールガンで地上を撃ち抜いた。


「で、どうなるんだ?」


『来ました』


すると撃ち抜いた場所から大量の水が吹き出した。


「おお、水道管か!」


『しかしあと七ヶ所必要です』


「だがこれで少しは被害が拡大することは無さそうだな」


『今のうちに片付けてしまいましょう』






「隊長機はリングに八機、ムーンに七機か」


『一筋縄では行きません、ここはケイオスの機能を使用しましょう』


「機能?」


『パージシステムです』


「パージしてどうなるんだ?」


『パージシステムとパーツウエポンシステムを並列起動させ遠隔射撃・近接兵装にします』


「…簡単に言うと?」


『遠距離攻撃と近距離攻撃を行えるドローンみたいなものです』


「わかりやすくて助かる」


『それでは、パージシステム発動』


すると脚部についていたケイオスのパーツが外れアームのような形になった。


『すこし脳に負担が掛かりますが耐えてください』


「え」


『パーツウエポンシステム発動』


「おお!?」


まるで二つ腕が増えたような感覚が現れた。


「これは…すげぇ自由に動かせる!」


『これで良いでしょう、作戦開始です』







「よし!今回も我々が優勢だ!」


「しかし隊長!未確認の機体が!」


「あれは…まさか終戦の指導者か!」


すると隊長機のバックパックが外された。


「何ィィィ!?」



「これで一機…あ、二機だったな」


同時に二機墜としていた。


「さて、次は…」


エアーブースター全開で次の獲物に食らいつく。


「ふん!」


ロングブレードと不知火で近くにいた隊長機二機のバックパックを破壊、それと同時に遠隔操作型のガントレットで二機戦闘不能にした。


「あとはムーンか」





「隊長!リングの勢いが急に落ちました!」


「なんだと?」


「報告によると終戦の指導者が現れたとのこと!」


「ほほう、まさか我々の味方に回ったのか?」


「そんな訳ねぇだろ」


「「!?」」


なんと背後にはすでにロングが回っていた。


「貴様!」


しかしもう遅くバックパックが不知火で両断されていた。



「ふう、あと六機」


先程ローズは空間転移で背後に回っていた。


先程と同じように六機同時撃破した。


「よし、あとは水栓を破壊すれば…」


『後方より一機接近』


「なんだと?」


『隊長機よりも高性能です』


「ちっ!ガントレットで水栓を破壊するしか…」


『了解、遠隔操作で破壊して行きます』


「出来るのか?カオス」


『難なく』


「よし、頼む」





「さて…あれ?」


なぜかレーダーから機体が消え、目視できなくなった。


「…まさか、ステルス機か」


「正解だ」


「!」


「あの時以来だな」


「誰だ、あんた」


「俺を忘れたか?『ルーキー』」


「まさか、あんた、ナイフさんか!?」


「そうだよ、まさかあの小僧が『終戦の指導者』になってるとはな」


「くっ…(倒すか?…畜生!倒しずれぇ!)」


「酷えよな、せっかく再開出来たのに敵対関係とはな」


「ああ、全くですね〜」


「…さて、街の消火に行ってくるとするか」


「え…」


「街が火だるまだからな、当然だろ?」


「…戦わないのか?」


「…今は都合よく無線が繋がってない、『今』は大人しく手を引く」


「…助かるよ、元気でなナイフさん」


「…タスクは元気か?」


「ああ、元気だ」


「そうか、良かった、じゃあな」


「…(一応警戒はしとくか)」







戦闘開始から十時間後、無事に火は消し止められた。



Actor 司令室


「ちょっと!ベルさん!」


暁が血相を変えてベルに問いただしていた。


暁は街の消火活動に当てられ、消火が完了したのでActorに帰還していた。


「な、なんだ、そんなに興奮して」


「あれは何なんですか!『終戦の指導者』って!」


「さ、さぁ?」


「目が泳いでる!」


「むむむ…どう話そうか…」


とりあえずベルは手短に事の顛末を話した。


「…へぇ」


「まぁ、あいつが『終戦の指導者』と言うわけだ」


「…まぁわかりました、消火活動も終わったので元のところへ戻ります」


「ああ、気を付けて」


「それと、シズちゃんには絶対に言わないでくださいよ?」


「何をだ?」


「ローズが『終戦の指導者』だってこと、シズちゃん、なぜか『終戦の指導者』に殺意むき出しなんですよ」


「わ、わかった言わないでおこう」


暁は部署へ戻っていった。

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