第31話 閃光とダイヤモンド

「む、難しい訓練ですか?」


暁の質問に九郎は笑みを浮かべ…




「ほらほら!!悲鳴を上げる暇があるなら身体を動かせ!」


「「「「ひ、ひぃぃぃ〜!!」」」」


四人VS怪物一人の模擬戦を行っていた。


「こ、これで!」


シズが九郎の足元を凍らせるが。


「まだまだ弱い!」


あっという間に氷を粉砕されてしまう。


「隙きあり!」


ローズが短距離転移で背後を取るが。


「不意打ちは黙ってやれ!」


「ぶべらっ!」


思いっきり顔面に裏拳を食らった。


「ローズ!」


「心配してる場合か?」


あっという間に暁の背後に回り込み。


「あっ」


「もっと集中しろ!」


背負い投げされた。


「がっ!」


「ふっ!」


投げ終えた瞬間にタスクが足蹴りを仕掛けた。


「お、いい判断だ…だが」


「なっ!?」


ヒットしたがピクリとも動いていない。


「ど、どうなって…」


「能力強化だ、能力を身に着ければこれくらいは出来る」


「なるほど…」


「隙きあり」


「なっ!?」


足を掴まれ投げ飛ばされた。


「て、手加減してくれよ…じいちゃん」


「甘えたことを言うな、お前らが向かうのは死地だ、中途半端な戦力ではすぐ死ぬし、何も守れない」


「その為の…力」


「そうだ、『倒す為の力』だけでは限界がある、だが『護る為の力』は限界は無い」


九郎はそう言うと四人に向き合い。


「護る為に戦え」


「護る…」


「為に…」


「さ、訓練の続きをするぞ!」


「「「「はい!」」」」







3週間が経過した。


「くっ…!」


シズは九郎と模擬戦をしていた。


「お?」


シズは前回同様足元を凍らせた。


「これは…」


しかし前回とは違い粉砕するのに少し手応えがあった。


「…」


そしてその隙を見逃さない。


「おっと!」


ローズが短距離転移で顔目掛けて足蹴りを放ったが、受け止められた。


「チッ!」


「やるようになったな!」


「うおっ!?」


足を掴まれ暁の方へ投げ飛ばされた。


「グハッ!」


しかし暁には当たらず壁に激突した。


「あれ?」


暁はというと…


「ん?」


九郎の眼の前で棒立ちしていた。


「痛ぇ……って…へ?」


「なんで私ここに…」


「お、能力が身についたな!」


「こ、これが…私の能力」


「ローズと同じ…」


「いや、違うな…これは…」


九郎は暁の瞳を覗き込む…


「ほう…『光』か」


「「「「光?」」」」


「俺も知らない能力だな…」


「試しに使ってみて?暁ちゃん」


「うん…えっと…」


すると暁が消えた。


「どこ!?」


「…俺の後ろだな」


九郎の後ろへ移動していた。


「ど、どういう原理?」


「おそらく光が通っている場所なら即座に移動することが出来るのだろう」


「なるほど…」


「まだまだ実力は足りてないが、おそらく虫眼鏡の要領で『レーザー』を出せるかもな!」


「「かっこいい」」


男二人が暁の光の能力に興味津々になっていた。


「さ、後はタスクだけだな」


「は、はい!」





数時間後…


「はぁ…はぁ…」


「ふむ…」


「も、もう休んだほうが…」


「…」

(おそらく暁は純種の種があったのだろう…だがタスクは………博打になるな)


「はぁ…はぁ…」


「じいちゃんそろそろ休憩に」


「ふん!」


九郎はタスクに強烈な足蹴りを放った。


「「「なっ!?」」」


「…」

(これを食らえば即死…だが…)


「ッ!」


カーン…と金属と金属がぶつかる音が鳴り響いた。


「「「あっ!」」」


「!?」


なんとタスクは腕で九郎の足蹴りを受け止めていた。


「タスクさん!」


「大丈夫ですか!?」


「じいちゃん!何をやって!」


「賭けは成功みたいだな」


「まさか…僕は、九郎さんの攻撃を」


「おめでとさん、能力獲得だ!」


「ほ、僕の能力…」


「『岩』だな、しかもさっきので一気に成長した、いやもう『岩』ではないな…『ダイヤモンド』だな!」


「でも九郎さんは殺すつもりは…」


「殺すつもりで蹴ったが?」


「「「「…」」」」


絶句である。


「ま、まぁこれで訓練は終わり…」


「終わるわけないだろ」


「「「「え?」」」」


「ローズ…いや陽炎お前がラストだ」


「俺!?」

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