第14話言い合いの果てに泣かせるとは…

控えめに自室の扉をノックされ、あぁいーと返事して招く。

「にぃに、ずっと上の空だけどなんかあった?」

「うわっ!なんだよ、気にしてくれてんの?お前こそなんか変だぞ!こえぇよ、なんか……」

「怖くないしっ!話しかけてもうんうんって生返事するだけで、ちゃんと返事してくんないから来たのッ!気にしたら、冷たい態度って……素直に受け取れっての!にぃにの、ばかっ」

「んだよ、情緒不安定か?お前に馬鹿呼ばわりされたくないんだけど。テストで赤点取ったときに泣きついてきたのはどこのどいつだよ」

「なっ!私を馬鹿だって言いたいの、ヘタレにぃのくせしてッ!?」

「はぁっ!?ヘタレとそれは話が違ぇだろうがっ!お前だって好きなやつに告白なんてできないって泣いてたんだろ!ひとのこと、棚に上げてよくヘタレなんて言えるな、お前!」

「なっ……なな、んで知って……そのこっ、うぅっ……にぃにのバカぁ〜ッ!」

瞳が泳ぎ始めたかと思えば潤みだした瞳で怖くもない睨みを向けてから、妹が飛び出していく。

妹の部屋の扉が勢いよく閉まる物音が聞こえ、彼女の啜り泣くのが聞こえてくる。


ムキになりすぎた、妹に対して。

勢い余って突きつけてはならない言葉を彼女に言い放ってしまった。

あーあ、やってしまった……

橘からの誘いに思考を巡らせていて、上の空だったことは認める。

平常心ではなかった。


今から謝りに行っても、虚しい結果に至るだけだ。明日謝ろう、妹に。


ベッドに倒れこみ、蛍光灯の明かりに視界が眩み手の甲で顔を覆う。

はぁー、とため息を漏らしいつのまにか就寝していた。

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