第十三話(桜視点) 壊れた少女と復讐

 私はその後、人気のない薄暗いところへ移動して、勢いよく嘔吐した。


「うぇっ──」


 何回も何回も……。


「うぇっ──」


 何回吐いても気が済まない。

 すぐに次の吐き気が襲ってくる。


 翔太は私を道具として使ってたってこと……?

 あの時私にしたのって、ただの性欲処理ってこと?


 あの時のうらら先輩の喘ぎ声がまだ、耳に残っている。


 その声が脳内を走ると、また吐き気が襲ってくる。


「うぇっ──」


 吐くたびに翔太との思い出が脳内を走り回る。


「翔太、翔太、翔太……」


 そして、私は自分のゲロがあるにも関わらず、そこに倒れる。


「翔太、翔太、翔太……私の翔太……うぇっ──」


 涙も止まらなかった。

 もう、どんなに泣いても泣いても泣いても泣いても、涙が尽きることはなかった。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」


『復讐しないの?』


 え……今のって何……。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」


『泣いてたって何も変わらないよ……ほら、私を壊した翔太に復讐しないの?』


「なに、なに、なに……なんなの……この声……」


 怖かった。

 耳からは自分の声がするのだもの。


 私は耳を塞いだ。


 でも………。


『ほら、復讐しよ』


 その声は消えることはなかった……。


 なんなの……なんなの……。


「この声……」


『ほら、翔太に復讐しようよ……私で遊んだ罪として……』


 復讐………。


『そうだよ。私たちで遊んだんだしさ、そのくらい当たり前だよ』


 そっか……これは私の心の声なんだ……。


『復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐復讐』


 そして、私はニヤリと笑う。


「そうだよね……復讐しよ……」


 その後は私は耳に残ったうらら先輩の喘ぎ声を、聞きながら妄想しながら下腹部に手をやった。



 その日、家に帰ると……。


 私は引き出しから翔太の写真を一枚だし。

 翔太の写真を見ながら下腹部へ手をやった。


 どんなにしても物足りない。

 それはもう一度したかったからだ。

 まだ、これからたくさんしたいからだ。


 でも……それはできない。


『うんうん、そうだ!! なら、翔太を手に入れよ!!』


 え………。


『だからさ、翔太を私のものにしちゃおうよ。もう、監禁してさ、私だけのものに!!』


 そっか……そうすれば、私はいつでも……。


「そうそう!! 翔太とできる!! なんなら、子供も作れる!!」


 そう思うと濡れてきた……興奮してきた。


 そう、そうすれば、全てが丸く収まる。

 もう、翔太は私だけのものになるんだ……私の道具に……。


 でも、うらら先輩が邪魔……。


『それなら、簡単だよ。いいんだよ』


 さすがにそれに対しては対抗があった。

 まだ、正気をギリ保っていた。

 でも……。


 それは流石に……。


『いいじゃん。私をこうした本人に……そうだ!! うらら先輩の前で翔太としてるのを見せようよ!! きっと、私たちと同じ思いになる!!』


 でも……。


『いいんだよ。もう、私は壊れてるんだから……ほら、全て壊そ……』


 そっか……私は壊れてるんだ……ならいいや。

 うらら先輩ごと壊そ……。


───────────────────────


今回の回は自分で書いててとても気持ち悪くなりました。

ですが、これは桜の感情を描くために必要なことなので自分にとっては『気持ち悪い』が褒め言葉です。

ぜひ、感想に『気持ち悪い』をお願いします。


あと、是非是非『俺、私は偽彼氏(ニセカレ)偽彼女(ニセカノ)です』こちら、カクヨム甲子園の作品もお願いします。

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