あたしは【重り】の能力者

 疲れた、疲れた、疲れた

 あたしに見知らぬ重み

 浮かれた、浮かれた、浮かれた

 カップル共の破廉恥

 誰もあたしに気づかず過ごす


 この【重り】をなすりつけて

 奴らの愛を取り立てた

 誰かあたしに気づいてくれ

 ほとぼりは冷めずに続く

 奴らへの怒りは増していく

 誰かあたしを止めてくれ


 ひらり 揺れる 雪玉と

 ちらり 聞こえる 好きだよの

 きらり 光る むき出しの瞳

 のらり くらり 奪いたいな


 誰にも言えない重しを抱えているから

 降りしきる白に隠れて

 ひたすらに前を歩く

 きっと華やかな希望があると信じて

 ただひたすらに進むあたしは……

 挫けた、挫けた、挫けた

 瞳がブラックホールになっていた



 努力はもう報われない

 一の希望すら見えない 世界

 真っ暗闇の旅路の中で

 一体全体どこに向かってるの?


 無駄な未来を待っている

 り減っていく

 結局全て 無にかえる

 すたれてる

 項垂うなだれている

 飲んではないのにアルコール


 ほろ酔い天下 なのにここ炎天下

 天が創った処女メイデン

 堕ちた瞬間捨てられ御免か?

 ヤケクソになって八つ当たり▽


 辛く苦しむその姿

 心無くした私は笑った

 穿うがった 邪悪に成った

 待った 今あたしはどうなってる?



 気づいた頃にゃもう遅い

 ほとぼりが冷めた時

 無くなっていた愛の【重り】

 気づいた頃にゃもう手遅れ

 私のことを想ってくれて

 その愛が【重り】と変わっていて

 私の上にのっかかっていたなんて


 ずしり 私の 八つ当たり

 ぎらり 奴らの 溜まる怒り

 ゆらら 無くなる 愛の重り

 ふわり 重力のタガが外れた


 兎にも角にも重しはなくなって

 揺らめく世界の片隅で

 ただただ空へと消えていく

 じっと遠ざかる景色を眺めて……

 生きたい、生きたい、生きたい

 瞳の涙が世界のことわりにより消えた



────────


「【愛の石】の」

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