怪人ニシキの相組逢瀬 2

 生徒会長のことはよくわからないがそれくらいの無茶は言い出しそうだ。


「うーん、いやそこまでではないけど仏の御石の鉢くらい」


「無理難題の中で難易度の話をするのちょっと不毛ですね」


「そういわずに話だけでも聞いて欲しい、そして難易度はニノマエちゃん次第でぐっと下がる可能性があるんだ」


「私は関係ないべきだと思うんですが」


 嫌な予感がして言葉でこころの距離を取るが存外食らいついてくるニシキ。


「関係ないべきとか言わないでよ俺のこころがベキベキになりそうだ」


「そんなヤワじゃないでしょ」


「いやいやこの一ヶ月くらいで俺結構限界だよ」


「そういう泣き言生徒会長に言ってないでしょうね」


 そして出来れば後輩女子にも言わないで欲しい。


「さすがにまだない」


「良い心がけです。まあいいでしょう。とりあえず話を聞くだけですからね?」


 変に拗れた破綻の仕方をされてまだ七割ほど残っている本年度の生徒会活動が居心地の悪いものになってもそれはそれで自分になんの益もない。善処出来る範囲であれば極力善処したほうがこの部屋で活動する全員のためだ。


「実は保留と言われてもなんもしないのも芸が無いと思ってデートに誘ってみたわけなんだけどさあ。お互いの理解を深め合うのは判断材料を増やす意味で有意義だとかなんとか適当言って」


「まあこの上なく妥当ですね」


 この場合内容じゃなくて言い方とか態度が凄い適当というかテレテレだったんだろうなと思うが突っ込まない。


「話してるうちにどうにかデートにこぎつけられそうな感じになってきたのだけど、ここで仏の御石の鉢を持ってこいと言われてしまったわけなのさ」


「具体的には」


「ニノマエちゃんと彼氏くん同伴でダブルデートなら良いって」


「は?」


 ニノマエが目を丸くして大口開けてぽかんとしてるの可愛いなと思ったけど下手に褒めるとそれはそれで怒られが発生するので口にはしないニシキ。念のため本題のほうをもう一度繰り返す。


「ニノマエちゃんと彼氏くん同伴でダブルデートなら良いって」


「は、はああああああああああああああああああああっ!?!?!?!!!」


 悲鳴というか怒号が吐き出され部屋中のガラスが震えた。


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