第25話 温泉旅行 前編

 大きな荷物を部屋に置き、畳を足の裏で感じながら窓を開ける。二階から見渡す景色は普段見慣れている景色では無く、自然豊かで下を見ると池があり、これだけで気分が上がってしまう。


 今いるのは海に行った時に水着で肉体美自慢コンテストの優勝賞品の温泉旅館に茉桜と二人で来ている。


 一泊二日、茉桜と二人っきりだ。


 旅館の近くをブラブラ探索して夕方、二人でチェックインしたこの旅館は部屋にお風呂があり、一階に降りると大きめの露天風呂まである。ただ、その露天風呂は解放時間が決まっていて、十七時〜二十二時までの五時間となっている。


「はあ、いっぱい歩き回ったしちょっと疲れたなー」


「そうね、でも楽しかったわ」


 ゴロンと転がり疲れた体を休ませる。


 しばらくボーッとしていると景色を見ていた茉桜が近づいてきて腰あたりに体を挟むように膝をついた。


「茉桜?」


 両手が顔の横について茉桜の顔が近くなる。


 キレイな黒い髪が垂れてきて頬を撫でるように当たる。


 上から見下ろしている茉桜の顔はいつものエッチな事をする時の顔だ。これから何をされるのか考えるとゾクゾクとしてしまう。


 茉桜やったらまずキスかな?首筋にキスしてくるかな?何されんのやろ。


 すっかりウチも茉桜みたいにエッチな事を考えるようになってしまったな。


 茉桜は特に何かするわけでは無く上からジーッと見つめてきている。


「茉桜?」


「...」


 我慢が出来なくなり茉桜を抱き寄せてキスをしようとするが、茉桜は馬乗りになったまま動かない。


「茉桜、キスしたい」


「ふふ」


 やっと口を開いたと思ったら妖艶に笑い、顔の横に置いていた手を動かして指を二本、口の中に入れてきた。


「んぁ」


「何を期待していたのかしら?私が近づくと物欲しそうな顔をしてすぐキスをせがんでくるなんて、エッチな叶彩」


「んぅ」


 口の中を人差し指と中指が動き回る。舌を触ったと思ったら歯を触り、次はヨダレを絡み合わせるように指を外に出す。


 指についたヨダレを茉桜は舐めてまたクスッと笑った。


「これだけでかわいい顔をする様になったわね、叶彩。まだキスもしていないのよ?」


 うぅ、体が熱くなってくる。下腹あたりがなんかキュンってするし。


「どうしたの?黙っちゃって」


「キスしたい」


「ふふ、したいの?」


「したい」


「どうしようかしら」


 こんな事されて我慢なんか出来ひん、早くキスしたい。茉桜に好きって表現したい。


「茉桜ぉ、お願い、キスしよ」


「仕方ないわね。口を開けて舌を出して」


「ん...」


「ふふ、エッチな顔...かわいいわよ」


 茉桜も同じように軽く口を開けて舌を出した。


 茉桜は舌を出したままエッチな事をされるのを待っている舌に近づけて唾液を垂らし始めた。


「私の味をしっかりと覚えるのよ、叶彩」


「んぅ...」


 ゴク、と茉桜の唾液を飲む。


 これが茉桜の味?なんか、甘い気がする。もっと知りたいな、茉桜の味。


「もっと欲しい」


「ふふ、いいわよ」


 今度はずっと待っていたキスをした。


 ちゅ、ちゅと音をたててキスをする。


 口の中で舌が絡み合い、直接茉桜の味を堪能する。


 もっと欲しいと思って舌に吸い付く。


 んっ、と茉桜の声が漏れて喜んでくれている事にさらに興奮して、唇で挟んだ茉桜の舌を離さないように吸いながら舌の先端同士をチロチロと舐め合う。


 口が離れて茉桜の顔を見ると赤くなっていて、気持ちよさそうな顔をしていた。


 そのまま何度もキスをした。


 優しく唇を合わせたり、唇を舐めたり、舌を絡め合ったと思ったり交互に舌を吸ったりした。


「満足したかしら?」


「...ぅん」


「ふふ、かわいい」と言って頬を撫でてくる。


「茉桜もかわいい」


「ありがとう」


 ギュッと抱きしめ合った後、二人は部屋のお風呂に入る事にした。


 服を脱いで体を洗い、湯船に浸かる。


「ずっと叶彩といられると思うとなんだか嬉しいわ」


「夜も一緒やし明日も一緒やな」


 広い浴槽なのに茉桜は向かい合うように膝の上に乗って首に手を回し、嬉しそうにしている。


 膝に柔らかいお尻の感触があり、目の前に好きな人のキレイな体があり、嬉しそうな笑顔、幸せな気分になる。


 膝を少し立てて茉桜を抱き寄せる。ちょうど茉桜の胸が顔の前にくる。


「叶彩?」


 胸に軽くキスをすると溢れる甘い吐息、くすぐったかったのか感じてくれたのか、茉桜の体に少し力が入ったのが膝にダイレクトに伝わってくる。


 もっとかわいい茉桜が見たい、そんな想いから胸にキスを繰り返す。優しくキスを繰り返し胸の柔らかさを唇で堪能する。


 まだ乳首には唇をつけない、マシュマロのように柔らかい胸をもっと味わっていたい。


 胸にキスを繰り返したり舐めたりして存分に堪能し、やっと乳首に口をつける。


「んぅっ、ん」


 情欲をかき立てるような茉桜の声に興奮を得て、少し強めに吸ったりする。力を入れるつもりは無かったのだが、茉桜の感じている声につい嬉しくなり、舐めていた舌の動きも激しくなる。


 いつもは茉桜に快感をコントロールされているが今は違う、茉桜を支配している。そんな感覚になる。


 舐めている自分も気持ちよくなる。


 好きな人の体を触ったり舐めたりするのは自分も気持ちいいんやな、茉桜のエッチな声聞いてると嬉しいし、もっと聞きたいわ。


 口の中でコロコロと乳首を舌で転がしたり出来るだけ舌を大きく使ってペロンと舐める。


「と、叶彩...それ、きもち...っ!」


 茉桜はゆっくりと丁寧に大きく舌全体を使って舐められるのが気持ちいいみたいだ。


 しばらく舐めたり吸ったりを繰り返しているとお互いのぼせ気味になってきたので「続きは部屋やな」と言ってお風呂から出る。


 部屋に戻り茉桜にエッチな事をしようと考えていると、ご飯の時間になったらしくおあずけとなった。


 この時間にご飯が来る事は聞いていたが完全に忘れてしまっていた。


 運び込まれてくる料理を二人で食べる。


 さっきまでのピンクな甘い空気から一転して今は美味しい料理を堪能する。


「この魚めっちゃ美味しいわ!」


「そうね、ちょうどいい味付けね」


「なんか新婚旅行みたいやな」


「ふふ、新婚旅行の夜は最高の思い出になると思うわよ」


「どうゆう意味?」


「お楽しみよ」


 料理を食べ尽くしてテレビを見ながらダラダラとしている。


「あ、ここそういえば露天風呂あるやん。行こ!」


「今時間は...まだ間に合いそうね」


 後一時間はあるので二人で露天風呂に向かう。


 何人かお風呂に入っている人がいたが遅い時間だってのでほとんど貸し切りになっていた。


 夜空を眺めながら露天風呂を満喫して部屋に戻る。


 部屋に戻ると布団が敷かれていて、いよいよ初めての旅行の長い夜が始まる。

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