第13話 テスト勉強

 帰りのホームルーム、後二週間でテストが始まるからちゃんとテスト勉強するように、と先生からクラス全員に向けて警告が出た。赤点が出ると夏休みに補習がある。


 補習には絶対なりたくないなー。みんなと遊べへんくなるし、茉桜とお祭りに行ったり海に行ったりしたいしなー。


 さようならをして部活に向かう者、そのまま帰る者、勉強して帰る者様々である。


 ウチは朱音と紫織と一緒に茉桜の家で勉強を見てもらう事になった。学年上から五番目には毎回のように入っている茉桜に勉強見てもらえるんやし、今回のテストは赤点回避出来そうや。


「さ、上がって」


「おじゃましま〜す」


「飲み物とか用意するわね。叶彩、先に部屋まで行っておいて」


「ほーい」


 部屋で茉桜が来るのを待つ。


「ね〜、これって叶彩の服?」


「そうやけど」


「叶彩の荷物を置くくらいこの部屋に来てるんだね」


「ラブラブだね〜」


「朱音と紫織はどうなん?」


「ん〜あたし達も結構頻繁にお互いの家行ったりしてるね〜」


「泊まったりもしてるし、叶彩みたいに服を置いたりしてるよ」


「ふーん、泊まったりしてるって事は、なんか、そうゆう事もするん?」


「ん〜?そうゆう事?エッチな事?」


「朱音にモデルになってもらって絵を描いたりしてるよ。それに夜は朱音がすごいんだ」


「恥ずかし〜。紫織ってばかわいいんだよ〜?」


「やめてって言ってもやめてくれなくてね」


 へ、へぇ。朱音って意外と肉食なんかな。


「叶彩はどうなんだい?」


「え、ウ、ウチ?」


「うん〜、夜とか夜とか〜」


 ガチャりとドアが空き、人数分の飲み物を用意した茉桜が入ってきた。


「何の話をしていたのかしら?」


「いや、何も話してへんよ!みんな無言やった!」


「あはは、何言ってるのさ叶彩」


「叶彩照れてるんだ〜。あのね、茉桜ちゃん。叶彩があたし達に夜はどんな感じかって聞いてきたら叶彩はどうなのって話してたの」


「へぇ、そんな話をしていたのね」


「ちょっと気になったんやもん」


 アカンアカン絶対言えへん。ウチが、あんな感じになってるとか知られたらもう死んでしまう。


 茉桜に余計な事は言うなよ、って意味を込めてアイコンタクトを送る。


「夜は叶彩がかわいくなるわね」


 意味なかった。


「叶彩が?かっこいいイメージしか無いけど」


「意外〜」


「もおいいやんその話は!はよ勉強しよ!」


「叶彩から始めたんじゃん〜」


 みんなで笑いあい、もう少しだけお喋りをしてから勉強を開始した。


 勉強を始めるとさっきまでの空気とは違い、ちゃんとピリッと空気で勉強をしていた。


 朱音と紫織は勉強に関しては可もなく不可もなくといった感じで全教科普通だ。


 ウチは数学と英語が全然分からへん。頭痛くなるんよ、面白くもないし。


 みんな一度は思ったことあると思うんやけど、必要か?生きていくのにこんなん必要か?


 ウチはとりあえず苦手教科は置いといてその他の教科を茉桜に教えてもらいながら勉強した。


 一週間が経とうとしていて、日曜日。


 茉桜が家に来て勉強を見てくれている。


 そろそろ苦手教科をやっていかなあかんと思ってたから助かるわ。


「ありがとうな茉桜。勉強に見てもらって」


「人に教えるのも勉強になるのよ?だから気にしないで」


「頼りになる彼女がいてウチは嬉しいわ」


「ふふ、それは良かったわ」


 今日は数学を見てもらう。


 何問かテストに出る公式を使う問題を解いているのだが、なかなか出来ない。


 やっぱり数学ってイライラしてくるなー、数字やら何か記号やら混ぜて問題出てくるし。


 あー、頭痛くなってきた。


「ちょっと休憩しよー」


「もう休憩するの?」


「うんー、ウチ数学アカンわーイライラしてくるもん」


「うーん、困ったわね」


「茉桜〜こっち来てウチを癒して」


「ちゃんと勉強しないとテストで赤点取ってしまうわよ?夏休みに私と一緒にいる時間が減ってしまうけれどいいのかしら?」


「う、それは、嫌やな」


「ねえ、私、もっと叶彩と一緒にいたいの。夏休みだって毎日でもいいくらい一緒にいたいのよ?叶彩、私の為に頑張って?勉強を頑張るかっこいい叶彩を見せて?」


 手を握りながら茉桜がお願いをしてくる。


「へへ、しゃーないなー!かわいい彼女のお願いや!そこまで言うなら頑張るわ!」


 そうかー、茉桜はそんなにウチの事が好きなんか。毎日でもいいくらい一緒にいたいんや。かわいいな、ほんまに。


 勉強のやる気を取り戻して何とか数学は赤点を回避出来るくらいには仕上がってきたと思う。


 とはいえもう少し数字は勉強しておいた方がいいだろう。少しでも赤点から遠ざかるために。


 なんだかんだ勉強はいい感じに進んだ事だし、今日の勉強はお開きとなった。


 学校に行くと日曜日にやった数学の復習をする。テストが近づいているということもあり、ほとんどの授業ではテスト勉強をしてもいいという事になっている。


 ありがたい事だ。教科が違っても自分の苦手とする教科の勉強を出来るのだから。


 ちょうど来週の月曜日からテストが始まる。


 もう少し数学を詰めたら今度は英語の勉強もしないといけない。


 かわいい彼女の為だと思って頑張ろう。


 二日経ち水曜日、そろそろ英語の勉強を始める。


 学校帰りの放課後は茉桜の部屋で勉強をするのが最近の日課だ。


「どう?数学は大丈夫そうかしら?」


「そやなー、たぶん大丈夫やと思う。ありがとうな。今日から英語やっていくわ」


「分からない所があれば何でも聞いてね?」


「ありがとうな」


 でも最近ずっと勉強ばっかりしててあたまおかしくなりそうや。


 教科書を開いて勉強をしようとするが、どうも気分が乗らない。


 まだ全然進んでいない。


「ねぇ、今日は勉強を辞めて気分転換しましょう」


「え?どしたん?ウチはなんか気分が乗らへんし嬉しいけど」


「私も気分が乗らないの。最近叶彩が足りなくて」


「ウチが足りひんってどうゆう事や」


「ふふ、おいで」


 ベッドに誘導され、押し倒される。


 ちゅ。


 唇が重なりあう。


「勉強の邪魔をしてはいけないと思ってずっと我慢していたのよ?」


「ウチだって我慢してたもん」


「ふふ、じゃ今日はいっぱいキスしましょう?」


 そう言って茉桜は唇の感触を確かめるように軽いキスを繰り返す。


 この感じ久しぶりや。茉桜がウチの上に乗ってなんか嬉しそうにする。いろいろされるけど、全然嫌じゃないし。


 唇が離れていったと思ったら、指で唇をなぞり始めた。


「かわいいわね」


 指で唇の感触を確かめると満足したのか、次は唇を舐め始めた。ペロペロと舐めるのとは違い、ゆっくりと下唇を舐め、じんわりと上唇を舐め、丁寧に舐められる。


 なんか、こんなに唇舐められるとゾクゾクするな。


 今度はカプッと唇を優しく包み込むように唇を口に含む茉桜。


 茉桜の口の中でウチの唇が舐められてる。今日はなんかいっぱい舐めてくるな、なんか嬉しい。


 目を開けてみるとジッと茉桜が見つめてきていた。まるで反応みて楽しんでいるかのように。


「ふふ、今度は叶彩の舌をいっぱい味合わせてもらうわね。ほら、舌を出して」


「ん」


 口を軽く開けて舌を出す。


 何をすんのかと思ったらなんか舌が吸われてる。


 ぴちょぴちょと音を鳴らして優しく吸い取るように吸い始める。


 離れたと思ったら今度は唇をつけず舌だけで絡め合う。


 お互いがお互いの舌の感触を確かめるようにゆっくりと絡め合った。


 絡め合ったまま茉桜はニュルニュルと舌を口の中に入れてきた。


 いったいどれくらいキスをしていただろうか、休む間もなくゆっくり、ねっとりとキスを続ける。


 激しいキスが続きやっと終わったと思ったらまた吸い付いてきて唇が重なり合い離れない。その間も舌はずっと絡めたままだ。まるで二人を結ぶ赤い糸。お互いがお互いを離さないように舌を絡め、好きとアピールしているよう。


 茉桜は満足したのかゆっくりと唇を離していった。それでもすぐに離すのではなく、名残惜しさを感じさせながら。


「大好きよ、叶彩」


「ウチも大好きやで、茉桜」


 お互いの愛を確かめ合うように二人は抱き合う。


 この日はいい気分転換になった。

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