第2話 浜辺
私が気がつくとそこは浜辺だった。
どうやら長いこと気を失ったようだが、幸運にも砂浜に打ち上げられたようだ。
私は痛む体に鞭を打ち、這いずって海から体を遠ざける。
これ以上海の塩っぽさで体力を奪われてはたまらないからだ。
やっとの思いで海から抜け出すと、ようやく一息つけると思い大きく息を吸って吐いた。
すると、新鮮な空気が肺を満たし【生きている】と実感できる。
「どうやら生きているみたいだね...私」
まだ息はできるし、胸に手を置くと心臓の音がちゃんとなり響いているのが分かって妙に嬉しくなる。
(少し休んだら近場を探索しよう、取り敢えず生きていけるだけの基盤は作っていかないと...)
そう思った矢先、私の顔に影がかかった。
最初は曇りにでもなったのかと思ったが、目を開けてみるとそこには黒髪の少女が存在していた。
少女は私を見つけるや否や声をかけてくる。
「お姉ちゃん何してるの?」
何をしてるの? なんて聞かれても答えは一つしかない。
「遭難して浜辺に打ち上げられただけさ」
私の言葉に驚いたのか少女は急いで何処かに言ってしまった。
(...大人の人でも呼んできてくれるのかな? まあ期待せずに待っていよう)
実際の所、今の私は相当消耗している。
正直言って指一本動かすのもしんどいくらいだ。
だから少女に声をかけられたのは幸運と言えよう。
しばらくすると再び少女が現れ、私は無事村の人たちによって救助される事になった。
そしてこの事をきっかけに面倒事に巻き込まれていくのだが、それはこの先のお楽しみと言う訳で...。
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