(7)

「は〜い、リラックスして……」

「何やってんの?」

 私は、後部座席に座り、気絶している謎の男の頭に手を当てている相棒にそう聞いた。

「『魔法』ですよ。この『捕虜』の脳をいじって……」

「何、その剣呑ヤバそうな『魔法』は?」

「まぁ、要は、こいつの脳を自白剤を打ったのと似たような状態に……」

 相棒の説明が終らない内に……後部座席から……何だ……これは……?

 獣のような咆哮と……そして、相棒の悲鳴。

 続いて、衝撃……。

「おい……ハンドルっ‼」

「は……はいッ‼」

 ルームミラーを見ると……謎の男が、いつの間にか目を覚まして暴れている。

 相棒の顔からは血……どうやら、顔を爪で引っ掻かれたようだ。

 子供の喧嘩か……さもなくば……文字通り……獣。

 謎の男は相棒の肩口に噛み付くが……。

「うわあああ……っ‼」

 相棒は何度も男の横っつらを殴るが、狭い車内なので大きな動きは出来ず……当然、与えるダメージも小さい。

「関口、チーム長、何かに捉まってて下さい」

「何?」

「早く、言った通りにッ‼」

 私は、次の交差点で……。

「無茶苦茶だぁ〜ッ‼」

 車はあらぬ方向に滑り……そして……。

 車が歩道に突っ込み、挙句の果てに、近くのビルの壁に激突し……ようやく止まった時……。

「はい……無事な人……手を挙げて……」

「ちっとも……」

「……無事じゃないです……」

 だが、何が起きるか……多少の予想は付いてた相棒とチーム長は……何とか意識が有ったが……完全に理性をなくしていた謎の男は……どこかに頭をブツけたらしく、再び気を失なっていた。

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