旅立ち

王都の褒賞式より3週間が経とうとしていた。


ついにアスランが中央大陸に向かう時がきたのだ。


王城から特別な馬車が出るため、王城の門の中で別れを惜しんでいる。


仲間や知人は特別に門の中に入ることを許可されている。


一緒の旅に参加出来ないミヤとミケは泣きながら見送っている。


「ご主人様、絶対帰ってきてにゃ。それまでに私達も絶対強くなると誓うにゃ」


「有り難う、二人も無理はしないこと。後トラブルが起きたときは遠慮なく奴隷紋を解除するようにね」


「ご主人様の鼓動が分からなくなるからいやにゃ」


「まったく、この二人を頼むねチルヒ」


「任せて下さい」


続いてレオに向けてアスランは話だす。


「カルラが側にいなくなる今、君の人生は君が描くしかない。何がしたい?」


「僕は今回のことで知りました。何かを成し遂げる時、絶対に強さが必要だと。なので何か一つでいいので誇れる強さを見つけようと思います」


「そう、立派になったね。帰ってきた時を楽しみにしてるからね」


「はい」


そして次に目が合ったのはディーネだった。


「一緒に連れて行ってあげれなくてごめんね。フローズンの最後の言葉だけは大切にしたいんだ」


ディーネは泣きながら、何度も何度も自分に言い聞かせている。

「分かっています。分かっています。でも、どうしても一緒に行きたかった。」


「精霊の里の復興はディーネなしには達成出来ないからね、宜しく頼むよ」


「グスン。グスン。わ、わかひました」


最後の最後まで共に行こうと一生懸命に模索していたのがディーネだった。


さらにはクラスメイトにも見送られる。


全員が契約魔法を望んで受け事情を聴きだしたのだ。


「アスラン、向こうは危険だと聞いている。一緒に行きたかったが実力が足りないと却下されたよ。だからこそ早く帰ってこいよ」


「アスラン、死んだら許さないからね」


「アスラン君、無事を祈っているわ」


「アスラン様、純潔をお守りして待っています」


「ちょ、ちょっとエミリア何てこと言うの」


「えっ、何って帰りを待ってるって…。」


「アスランも頷いてるんじゃないわよ」


エリーナはそう言い終わるとソフィアとエミリアを連れて何処かで話だした。


最後は家族と王様達に挨拶をした。


「アスラン、半年後には結婚式があるから戻ってこいよ」


「アスラン、お前を誇りに思う。絶対に帰ってきなさい」


「父様、兄様、承知しました。必ず帰ってきます」


「お兄様、次の旅までにこのスキルを磨いて次こそは一緒に旅に付いていきますからね」


「大人っぽくなったなセレスト。そのスキルは使い方次第ではSランク冒険者になれるかもな。その時は俺が中央大陸を案内してやるから待ってるよ」


「絶対ですよ、お兄様」


そして一人一人と挨拶を交わし王様に伝える。


「長い時間有り難うございます。では中央大陸に向かおうと思います」


「気にするな。向こう側は久々のSランク冒険者に期待してる見たいだ。気をつけろよ」


「はい。有り難うございます。みんな行くよ」


アスランの声と共に馬車に乗り込む姿は三人だ。


カルラ、ソフィア、そして魔族のバトラーが入り、そして最後にハクとアスランが乗り込んだ。


青く澄み渡る空の中、アスランは皆に見送られてついに中央大陸へと旅出すのであった。


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